歯の豆知識

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お子さんの成長とともに、歯の生えかわり〜心配なこと・気になることはありませんか?〜

こんにちは。長野フォレスト歯科の添野です。

今年もあと数日となりました。

一年が経つのは、本当にあっという間ですね。

今回は「乳歯から永久歯への生えかわり」についてお話しします。

皆さんは、顎の中で乳歯や永久歯が作られていることはご存知ですか?

生まれて初めて生える歯「乳歯」の元になる歯胚は妊娠7〜10週目に作られます。

永久歯の中で最も早く生えてくる第一大臼歯や前歯は妊娠3〜5ヶ月頃歯胚が出来て、時間を掛けて成長していきます。

生えかわりが始まる6歳頃には、顎の中で生える準備をしています。

目次

■乳歯の特徴

乳歯は永久歯と比べて大きさは小さく、エナメル質・象牙質の厚みが半分程度しかないため、虫歯になりやすく進行もとても早いという特徴を持っています。
また、乳歯と永久歯の色を比べると、永久歯は黄色っぽいのに対し、乳歯は白いため、永久歯が最初に出てくると黄色い歯が出てきたように感じるかもしれません。

□永久歯より本数が少ない

乳歯は生えてくる本数が永久歯より少ないのです。

通常は永久歯は28本、親知らずを含めると32本生えてきます。

しかし乳歯は全部で20本しか生えてきません。

□乳歯はエナメル質と象牙質が薄い

乳歯と永久歯には構造上の違いも存在しています。歯は最も外側にエナメル質があり、その下は象牙質で覆われています。乳歯は永久歯と比べると、エナメル質と象牙質が薄くなっているので、外部からの刺激に弱いという性質があります。永久歯よりも虫歯になりやすいのです。

■乳歯が生えかわる時期・順番

子どもの歯である乳歯は、ある時期を迎えると大人の歯である永久歯へと生え変わっていきます。最初に生えてくる大人の歯は、第一大臼歯と呼ばれる奥歯です。6歳に生えてくることが多いため、6歳臼歯とも呼ばれています。ですので、6歳前後を子どもの歯が生え変わる時期とお考えください。

ただし、乳歯から永久歯への生え変わりは、短期間で完了するようなものではありません。1本1本ゆっくりと生え変わっていくものなので、全ての乳歯が永久歯へと生え変わるには数年を要します。目安としては、12歳くらいをお考えください。中学に上がるくらいの年代で、全ての永久歯が生え揃うことが多いです。

乳歯は、ある程度の規則性を持って生えてきます。個々人の発育状況や人種によっても異なる部分はあるのですが、ここでは一般的な日本人の子どもについて説明していきます。

まず乳歯は、下の前歯から生え始めます。時期としては生後6ヵ月くらいです。

次に、上の前歯が生え始め、臼歯、犬歯と続いていきます。最後には一番奥の臼歯が生えてきます。これが2歳~2歳半くらいの時期です。そうして合計20本の乳歯が生え揃うのです。大人の歯である永久歯よりも8本少ないです。

□乳歯が抜ける順番

乳歯から永久歯への生え変わりは、おおむね下の前歯から始まり、その後徐々に奥歯に向かって進行します。

前述したように、一般的に6歳頃に下の前歯が抜け、その後すぐに6歳臼歯が生えてきます。その次に、7歳を過ぎる頃に上の前歯が抜け、永久歯に生え変わるのです。その後、8~9歳で前歯から奥歯に向けて生え変わる順番が続き、上下の奥歯は11歳頃に生え変わります。そして、14歳頃までにすべての歯が永久歯に生えかわるでしょう。

繰り返しますが、子供によって生え変わるタイミングや順序は異なります。乳歯がなかなか抜けないようにみえても、ある日突然グラグラし始め、一度に2本抜けることもあります。

乳歯の生えかわりが順調であれば問題ありません。大切なのは、定期的に歯科医院でチェックを受け、乳歯から永久歯への生えかわりが健康的に進行しているか確認することです。

□乳歯が抜け始める時期

乳歯が全て生え揃うと、その3~4年後、平均的に6歳頃から、乳歯が抜けて永久歯に生えかわる時期を迎えます。

まずは下の前歯が抜け、その頃に6歳臼歯(最初の永久歯である奥歯)が生え始めます。そして、親知らずを除いた全ての永久歯が生え揃うのはだいたい14歳頃となります。乳歯が抜ける時期は子供により異なり、早い子や遅い子がいても大きな問題ではありません。

以下、乳歯が抜ける一般的な時期の目安をご紹介します。

一般的な目安であり、個人差がある点にご注意ください。

また、同じ時期に2本の歯が同時に抜けることもあります。

歯の名前と歯が抜ける平均年齢について

歯の位置 歯の名前 歯が抜ける平均年齢
上の歯 乳中切歯(1番目) 7~8歳頃
乳側切歯(2番目) 8~9歳頃
乳犬歯(3番目) 11~12歳頃
第一乳臼歯(4番目) 9~11歳頃
第二乳臼歯(5番目) 9~12歳頃
下の歯 乳中切歯(1番目) 6~7歳頃
乳側切歯(2番目) 7~8歳頃
乳犬歯(3番目) 9~11歳頃
第一乳臼歯(4番目) 10~12歳頃
第二乳臼歯(5番目) 11~13歳頃

 

■乳歯の生えかわりには、個人差がある

一般的な目安として、乳歯は2歳半~3歳くらいまでに全て生え揃います。その後、5歳半~6歳頃に永久歯への生えかわりが始まり、12歳くらいで全ての乳歯が抜けて生えかわっていきます。

永久歯への生えかわりは個人差が大きく、男の子よりも女の子のほうが早い傾向があるといわれています。お子さんによっては1年以上のずれがあり、7歳くらいまで全く歯が生えかわらないお子さんもいますので、生えかわりが多少ゆっくりでも問題ないことが多いです。稀なケースを除いては個人差があるので、様子を見ることが多いです。

もし、それでも心配な場合は6歳以降を目安に歯科医院でレントゲンを撮って永久歯を確認することも出来ますのでご相談ください。

永久歯は一生使い続ける歯ですから、生えてきたらむし歯にならないように丁寧に歯磨きする必要があります。

歯の生え変わりの時期の注意点

歯の生え変わり時期は、特に注意してケアを行う必要があります。以下、タイミング別に注意すべき点について解説します。

乳歯が抜けそうなとき

乳歯がグラグラと揺れるようになったとき、早く抜いてしまいたいと考えるかもしれません。

しかし、乳歯を無理に抜くと、歯根が途中で折れたり歯茎に傷がついたりする可能性があります。

基本的に放置していても勝手に抜け落ちますが、乳歯が自然に抜けるのを助ける方法があります。指や舌を使ってゆっくりと歯を揺らす方法です。この方法は、一気に抜くこととは異なり、歯茎に負担をかけずに、安全に歯が抜けることを助けてくれるでしょう。

また、乳歯の根がすでに完全に抜けて、歯がほんの少しだけ残っている状態であれば、そのまま抜いてしまっても問題ありません。もし、乳歯が抜けそうな状況で心配なことがあれば、歯科医師に相談するのが良いでしょう。

乳歯が抜けたとき

乳歯が抜けたあとは出血が見られることがあります。その際は、清潔なガーゼやハンカチを歯茎にしっかり押しつけ、圧迫止血することが重要です。

お子さまに自分で噛むように圧迫してもらっても構いません。適切な圧力をかけることで、5~10分程度で出血が止まることがほとんどです。出血が止まったあとも、何らかの刺激によって再度出血することがありますが、出血量が少なければ大きな心配は不要です。

一方、抜歯後にしっかり圧迫したにもかかわらず、出血が止まらない場合は、すぐに歯科医院に相談しましょう。

また、乳歯が抜けたあとの口内の消毒は、基本的に必要ありません。口内は自然に治癒する能力があるため、適切なケアを行っていれば特別な消毒作業は不要です。

乳歯を保管するとき

乳歯を記念品として保管したいと考える方は多く、抜けた乳歯を保存するための「乳歯ケース」を使用する方も増えてきています。ここでは、乳歯の保管における注意点を解説します。

まず、抜けた乳歯には多くの場合、歯垢(プラーク)や血液などの汚れが付着しています。そのまま保存すると、菌の繁殖や歯が劣化する可能性があるため、オキシドールで消毒するのがよいです。

具体的な方法は、容器にオキシドールを入れ、オキシドールに抜けた乳歯を半日ほど漬けておきます。漬けたあとは、ブラッシングをしながら流水で乳歯を洗い流しましょう。

そして、完全に乳歯が乾燥するまで待ちます。しっかり乾燥させたうえで乳歯ケースに保管すると、きれいな状態で歯を保存することができます。

永久歯が生えたとき

永久歯が生えるときにはいくつかの注意点があります。永久歯は乳歯に比べて硬く強いですが、生えてから2~3年程度の期間は未熟で、歯質も弱く表面も整っていないため、乳歯と同様に虫歯になりやすいといえるでしょう。そのため、生え変わりの時期は、虫歯予防に気をつけることが重要です。

お子さまに自分でブラッシングしてもらうことが大切ですが、その後、大人が仕上げ磨きをすることも重要です。仕上げ磨きは、ブラッシングだけでは落ちない汚れを取り除くだけでなく、口腔内を観察する機会でもあります。

また、永久歯が全て生え揃うまでの期間、乳歯と永久歯が混在する状態となるため、歯が凸凹して汚れが落ちにくくなります。そのため、歯ブラシをさまざまな角度からあてるなどして、しっかり虫歯予防を行うことが重要です。

なお、乳歯に比べて永久歯のほうが黄ばんで見えると心配する方もいらっしゃるかもしれませんが、永久歯は乳歯よりも少し黄色っぽいアイボリー色をしているため心配する必要はありません。

永久歯が生えてこないとき

永久歯は通常、親知らずを含めて全32本生えることが期待されますが、生まれつき歯の本数が足りないケースがあります。このようケースは「先天性欠如歯」と診断され、現在、約10人に1人のお子さまが該当します。

先天性欠如歯では、1本だけ歯が足りないケースから複数の歯が足りないケースまで、さまざまな症例があります。また、欠如歯により永久歯の本数が少ないため、乳歯が抜けても新たに歯が生えてこない方や大人になっても乳歯が残ってしまう方もいらっしゃいます。

乳歯が抜けたあとにしばらく経っても新しい歯が生えてこない場合は、先天性欠如歯の可能性があるため、早めに歯科医師に相談するのがよいでしょう。

先天性欠如歯の治療方法としては、入れ歯や矯正治療など、症例に応じた対応が行われます。歯が生えてこない状態を放置すると、隣の歯が空いたスペースに倒れ込んできてしまい、歯並びが乱れたり、ブラッシングが難しくなり虫歯になりやすくなったりすることがあります。また、噛み合わせや食事、発音にも影響が出ることもあるのです。

先天性欠如歯は早めの治療が重要といえるでしょう。

■大人の歯が生える順番

せっかく生えそろった乳歯ですが、ある時期を迎えると、自然に脱落していきます。これが子どもの歯の生え変わりです。子どもの歯の脱落は、下から生えてくる永久歯に影響を受けます。つまり、子どもの歯が生え変わる順番を知るためには、永久歯が生えてくる順番を知る必要があるのです。

□最初は下顎の第一大臼歯

永久歯は下顎の第一大臼歯から生え始めます。6歳臼歯という別名がある通り、6歳ごろに生えてくるのが一般的です。次に、上顎の第一大臼歯が生えてきます。奥歯から生え始めるというのが特徴です。

続いて、下顎の前歯が生えてきます。中切歯と側切歯と呼ばれる前歯で、下顎が生えそろうと、今度は上顎が生え始めます。この時点で、子どもの年齢は7歳くらいです。ここまでの順番は、日本人の中でもかなり共通しています。

その後、生えてくる順番には、何パターンか存在しています。最も頻度の高いパターンでは、第一大臼歯と前歯が生えそろうと、今度は第一小臼歯が生えてきます。続いて、犬歯、第二小臼歯、第二大臼歯という順番で生えてきます。

こうして全ての子どもの歯が生え変わるのは、12歳~13歳を迎えた頃です。ただし、繰り返しにはなりますが、歯の生えてくる順番は個人差が非常に大きいため、あくまで目安としてお考えください。

 ■一番奥の乳歯の後ろから生えてくる「第一大臼歯」に気をつける!

乳歯から永久歯への生えかわりは多くの場合、まずは下の真ん中の前歯から始まります。その後、順番に進んで下の前歯4本と、上の前歯4本が5歳半から8歳くらいまでの間に抜けて生えかわります。それと並行して、一番奥の乳歯の後ろから新たに「第一大臼歯(だいいちだいきゅうし)」が生えてきます。この第一大臼歯は6歳ごろに生えてくるので、「6歳臼歯」ともいわれています。永久歯の中で一番大きく、かむ力も強い歯で永久歯の歯並びやかみ合わせの基本となる大切な歯です。

そして9歳ごろに、前歯と奥歯の間にある糸切り歯(犬歯)などの歯がだんだん生えかわります。

こうして12~14歳頃までに、「12歳臼歯(第二大臼歯)」を含む上下28本の永久歯が生え揃います。それ以降に、人によっては「親知らず(第三大臼歯)」が生えてきます。

■生え始めの永久歯は、むし歯になりやすい…

乳歯は永久歯と比べて、柔らかくて汚れがつきやすい性質があります。そして永久歯も、生えてから2~3年間は「幼若(ようじゃく)永久歯」といって、歯質そのものが未成熟なので、むし歯になりやすい時期です。その後、だ液中のカルシウムなどのミネラルが少しずつ歯に入り込んでいくことで、だんだん通常の永久歯の硬さと強さになっていきます。

生えかわりの時期はこれから一生使い続ける永久歯を守るためにも重要な時期です。歯科医院で幼若永久歯にフッ素を塗ってもらったり、フッ素入りの歯みがき剤を使うと、フッ素の働きでむし歯になりにくい丈夫な歯をつくる手助けをしてくれます。

■ 生えかわり期の歯磨きは、特に念入りに行う!

生えかわり期こそ、しっかり歯みがきをすることが大切です。永久歯の生え始めは歯質が弱く、むし歯になりやすいです。また、歯並びが複雑で凹凸しやするなるので、磨きにくく汚れが残りやすいです。永久歯が生え終わったころには既にむし歯になっているお子さんも珍しくありませんので、仕上げみがきは念入りにしましょう。

グラグラする歯も他の歯と同じように磨いて大丈夫ですが、気になる場合は、歯ブラシを持つ反対側の手の指を軽く添えて仕上げ磨をします。特に一番奥の乳歯の後ろに生えてくる「第一大臼歯(6歳臼歯)」は、生えてきたことに気づきにくく、生え始めは他の歯より背が低いので歯ブラシが届きにくいため、汚れや食べかすが残りやすくなっています。歯ブラシを横から入れてみがくと毛先が届きやすくなります。

■歯の生えかわり時期こそ歯科受診を!

5歳半~6歳ごろになると乳歯から永久歯への生えかわりがスタートして、12歳ころには永久歯に生えかわります。口の中がどんどん変化してくる時期だからこそ、ママやパパにとっては「うちの子の歯並びは大丈夫?」「生えかわりが心配…」などといった疑問や悩みを持つ方も少なくありません。

実際にこの時期の子どもは、口のトラブルが多くなります。

生活習慣の変化によりむし歯が増えたり、永久歯の生えかわりがスムーズにいかなかったり、歯並びやかみ合わせの問題が表面化しやすかったりと、口のトラブルが多くなる時期でもあります。また、口呼吸や指しゃぶり、口をぽかんと開けていたりする「くせ」や、発音、ものの食べ方が歯並びに影響しやすい時期でもあります。

だからこそ、定期的に口の中の状態を正しく把握することが大切です。むし歯や歯並び、かみ合わせの問題を事前に防いで早めの対処を心がけましょう。

むし歯などになってからの治療ではなく、なる前の予防を大切にし、歯と口の健康を積極的に守る「予防歯科」という考え方があります。子どもの口の健康を守るためにも、ご自宅で行うセルフケアに加えて、普段からぜひ歯科医院を活用して、予防に努めてほしいと思います。

□歯の生えかわり時期に歯科医院で診てもらえること

子どもの歯が生えかわる時期に、歯科医院で診てもらえることは主に3つあります。

・口の中に問題がないか確認をしてくれる

・しっかり歯みがきができているかチェックをしてくれる

・自宅では出来ないケアが受けられる

・口の中に問題がないか確認をしてくれる

歯が生えかわる時期の口の中には様々なトラブルが起こります。特に歯の生えかわりについては、生えてくる途中で他の歯に引っかかったり、乳歯がまだ抜けないうちに横から永久歯が生えてくることがあります。

場合によっては乳歯を抜歯するなどの処置が必要なケースもありますが、保護者の方が判断することは難しいと思います。歯科医院では生えかわりや歯並びについても問題ないかチェックをしてくれます。

さらに、レントゲン写真を撮影すると永久歯が骨の中でしっかり育っているかなどを調べることも出来ます。

心配な場合は、歯科医院で相談してみてください。

生えかわりの時期は、口の中の変化や、生活習慣の影響によりむし歯になりやすい時期でもあります。

特に、5~6歳になると、奥歯に新たな永久歯の「第一大臼歯」が生えてきます。この第一大臼歯は歯の溝が複雑で他の歯に比べて背が低い期間があるため、汚れが残りやすく、生えている途中でむし歯になってしまうこともあります。むし歯かどうかは保護者の方では分かりにくい場合もあるため、むし歯になっていないかの確認をしてもらいましょう。

しっかり歯みがきができているかチェックをしてくれる

5~6歳はだんだん手先が器用になってくる時期なので、歯科医院では子ども自身が上手にみがけるようにブラッシングのやり方を教えています。

他にも歯ブラシの選び方や持ち方、安全な磨き方などもアドバイスしています。
また、子どもが自分でしっかりみがけるようになるまでは、保護者の方の仕上げ磨きのアドバイスも引き続き行います。

子どもがみがき残す場所は、親が磨きにくい所でもあります。
歯科医院で定期的に、細かいところまでしっかり汚れを落とせているかチェックをしてもらうことをお勧めします。

自宅では出来ないケアが受けられる

歯科医院で受けられる代表的なケアは、クリーニング、フッ素、シーラントがあります。

クリーニングは、歯科医院専用の器具で歯をきれいにする方法です。歯ブラシで落としきれない汚れを落とし、歯の表面をなめらかにすることができます。

フッ素は、表面に塗布することで歯を強くします。
特に生えてきたばかりの永久歯は「幼弱(ようじゃく)永久歯」といって歯質がやわらかく、生えてから2~3年はむし歯になりやすい期間です。この間にフッ素を塗布すればむし歯の予防効果が高くなります。塗布はだいたい3~4カ月に1回のペースで行います。

シーラントは、歯ブラシの毛が行き届かないような歯の溝を樹脂で埋めて、汚れがたまらないようにする処置です。樹脂からはフッ素が染み出るので、歯質を丈夫にしてくれる効果もあります。

しかし、一部が欠けてしまうことやシーラントの下にむし歯ができてしまうなどの可能性もあるため、定期的な歯科医院での確認をお勧めします。

■将来の歯並びの良し悪しを決める?!生え変わり時期のお口ケア

歯が生え変わる、乳歯と永久歯が混在している時期を混合歯列期と呼びます。

混合歯列期のお口のケアは、永久歯の歯並びにも影響するためとても大切です。

正しい歯みがきの仕方や、生え変わりが終わるまでに治しておきたい「歯並びに影響するお口周りの癖」について確認しましょう。

□念入りな歯磨きが必要な時期

生えかわり前の乳歯はやわらかく、むし歯菌が生み出す酸に溶けやすいのでむし歯リスクが高い歯。丁寧な歯磨きが大切です。

実は、生え変わったばかりの永久歯もまだ未完成でやわらかく、むし歯になりやすいのです。

むし歯になりにくい強い歯にするためには、歯が成熟し充分に硬くなるまでの2~3年、つまり生え変わりの時期こそしっかりケアすることが重要です。

しかし、生え変わりの時期は歯が抜けてすき間があったり、まだ生えかけの永久歯があったりして、歯並びが悪く磨きにくい状態です。

そんな生え変わりの時期の歯みがきのポイントです!

  • 生えかけの歯は背が低いので、歯並びが上下にデコボコして歯ブラシが届きにくい。横から歯ブラシを入れ、1本ずつていねいに磨く。
  • 乳歯が抜けて隙間ができた両隣の歯は、汚れや歯垢がたまりやすい。抜けているところに歯ブラシを入れて、両側の歯を磨く。
  • 歯並びが前後にデコボコしているところは、歯ブラシをたてにして1本ずつ磨く。

また、むし歯菌が生み出す酸に負けない強い歯に育てるためには、歯科医院でフッ素を塗布してもらったり、フッ素入りの歯磨き粉を使ったりするのがお勧めです。

■歯科医院の受診をお勧めする場合

乳歯がグラグラしているだけなら、自然に抜けるのを待っていれば大丈夫です。グラグラしていてもなかなか抜けない場合、乳歯の色がピンク色になったり黒ずんできたりすることがありますが、生えかわりがスムーズにいっていないだけで、特に心配はいりません。

しかし、乳歯が抜けないまま永久歯が裏側や横から生えてきたり、すき間に細菌が入って歯肉が腫れてしまったりしているようなら、早めに乳歯を抜く必要があります。口の中を見て、気になる症状がある場合は歯科医院を受診しましょう。

また、グラグラしているのが気になってお子さんが物事に集中できなかったり、ごはんを食べる時に痛がるなど日常生活に支障が出る場合は、歯科医院で乳歯を抜いてもらうのも一つの方法です。

歯科医院なら、レントゲン撮影で乳歯や永久歯の詳しい状態が確認出来ます。

□乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきた

顎が小さく永久歯が乳歯の真下に入る余裕がなかった場合、乳歯の根っこを破骨細胞がうまく溶かせず、なかなか抜けないことがあります。

すると永久歯が乳歯の横や裏からが出てこようとしてしまい、乳歯が邪魔になって正しい場所に生えることができません。

歯並びが悪くなってしまうリスクがあるため、乳歯の抜歯が必要かどうか、歯科医院で相談しましょう。

□左右どちらかの乳歯だけがいつまでも抜けない

基本的に、乳歯から永久歯へは左右対称で生え変わります。

左右どちらかだけの乳歯が抜けずに残ってしまう、グラグラもしてこないなどの症状があった場合、過剰歯(かじょうし)という本来はない余分な歯がある場合もあります。

レントゲンで確認しないと分からないため、歯科医院で相談するのが良いかと思います。

□乳歯がむし歯

乳歯が深いむし歯になり、歯冠(歯茎から出ている部分)がほとんどなくなっているような状態など歯が上手く抜けそうにない時は、無理に抜くことはやめましょう。途中で折れたり、一部が残ったりする可能性があります。

乳歯のむし歯のリスク

乳歯はむし歯になっても「どうせ生え変わるから…」と放置されてしまうこともありますが、実は乳歯のむし歯にはさまざまなリスクがあります。むし歯が出来やすいお口の環境になり、永久歯もむし歯になりやすくなってしまいます。

  • むし歯で乳歯がなくなると、あいた空間に左右の歯が倒れ込み歯並びが悪くなる
  • むし歯の痛みなどで正常に噛むことができず、顎の発達に悪影響が出る
  • むし歯の膿が永久歯の発育を邪魔するため、発育不良な永久歯になる可能性がある

もし、むし歯になってしまったら、早めに治療して健康な歯を保ちましょう。

□乳歯が抜けた後永久歯が生えてこない

一般的に、乳歯が抜けた後も永久歯が出てくるまで3ヶ月程度かかります。

歯茎が厚くなかなか永久歯が出てこれない場合などでは、1~2年かかることもしかしこの期間ずっと待っているのは少し心配ですよね。

歯科クリニックでは、レーザーなどで歯茎を少し切り、永久歯が出てきやすいようにする処置が可能。

レントゲンで永久歯がどんな状態になっているかも確認できるので、半年たっても永久歯が生えてこない場合は一度歯科クリニックに相談してみましょう。

ただし、まれに過剰歯があるケースや、そもそも永久歯がないケースも。詳しくは中高生になっても永久歯が生えてこないときに疑う症状の項目でご紹介しています。

□思春期を過ぎても乳歯が残っている

乳歯が抜ける様子もなく思春期まで残っていて、さらに永久歯が生える様子もない場合、「そもそも永久歯がない」ということが考えられます。

永久歯がないので乳歯の根っこを溶かすための「破骨細胞」が働かず、乳歯がいつまでも抜けないのです。

永久歯がない=先天性欠如については、次の項目「中高生になっても永久歯が生えてこないときに疑う症状」で詳しくご紹介します。

□中高生になっても永久歯が生えてこないときに疑う症状

中高生になっても乳歯が生えたままだったり、もともと乳歯がない場所の奥歯(第一大臼歯/6歳臼歯より奥の歯)が生えてこなかったりする場合、このような原因が考えられます。

先天性欠如

生まれつき永久歯がないケース。

中央の前歯から2番目の側切歯や、5番目の第二小臼歯で起こる割合が高く(第三大臼歯/親知らずを除く)、およそ10人に1人の子に「足りない歯」があるといわれています。

この場合、方法の1つとして乳歯を抜かず、永久歯の代わりとして使うことがあります。

乳歯は永久歯に比べやわらかいため20~40歳で抜け落ちることがほとんどですが、その後は歯科クリニックで、欠如している歯を補うためのブリッジ・入れ歯・インプラントなどの欠損治療も可能です。

・埋伏歯

永久歯そのものは存在しているものの、顎の骨や歯茎に埋まったままの歯のこと。

代表的なものに第三大臼歯(親知らず)があります。

周囲の歯に悪影響がないケースでは、そのままにすることも。しかし、歯並びや咬み合わせにトラブルがあったり、炎症を起こしたりするならば抜歯などの処置が必要です。

埋伏歯の状態を詳しく知るためにも、歯科クリニックで診てもらいましょう。

・過剰歯

通常の歯の本数よりも多くできてしまった歯のこと。

過剰歯があるとスペースが足りず、本来生えるはずの永久歯が出てこられない場合があります。

歯科クリニックでの抜歯による処置が基本ですが、永久歯の並びや歯の神経に影響がないか、経過を観察していくこともあります。

■早い時期から定期的に歯科健診を受けることは、将来の健康にも繋がっていく?

早いうちから定期的な歯科健診を受けることは、「むし歯」と「口の機能」という2つの観点から見ても将来の健康につながるといえます。

一度むし歯になって治療した歯は見た目は綺麗になりますが、元通りになるわけではありません。一度治療した歯はまたむし歯になるリスクが高くなるため、何度も治療が必要になり、最後は抜くことになる場合もあります。そのため、幼少期から歯科医院に通って治療する必要のない歯を保っていくことが大切です。

また、近年ではむし歯以外にも、子どもの口呼吸や発音などが気になるという保護者の方も増えてきました。

歯科医院に定期的に通って、歯並びやかみ合わせ、口の機能を小さいころからしっかり診てもらうことで、必要な時期に速やかに必要な治療が始められます。

歯と口は食べたり笑ったり話したり、毎日の生活を豊かにし、健康な身体の土台となる大切なものです。家族みんなで定期的に歯科健診を受けることをお勧めします。

 

編集者 医療法人フォレスト 長野フォレスト歯科 理事長 藤森 林