歯の豆知識

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むし歯で歯の痛みがなくなったとき、実は静かに歯の破壊が進んでいるのです・・・

こんにちは。長野フォレスト歯科の添野です。

8月に入り日差しもまだまだ厳しく、真昼の太陽に焼かれてしまいそうですね。

そんな暑さにも負けず、元気溢れる夏を過ごしたいですね!

皆さんは、むし歯が進行するとどうなるかご存知でしょうか?歯がズキズキ痛くなる?漫画のように頬が腫れる?実は、むし歯が進行すると「痛みが消える」ことがあります。虫歯が治っていないのに、痛みが急におさまったように感じると、なぜそんなことが起きるのか疑問に思われますよね。

また痛みがなくなると治ったと勘違いしてしまいそうですが、歯のさらに奥ではむし歯は広がり続けているのです。

「昨日痛かったのに今日は痛くない!自然に治った!」と思ったことのある方はいませんか?

実はそれは大きな間違いなんです。

むし歯が自然治癒することはありません。

むし歯は放置していると、どんどん痛くなり、痛み止めも効かなくなるという場合もあります。痛くて眠れないなんて...辛いですよね。

疲労具合なども関係ありますが、痛い日もあればあまり痛くない日もあります。痛みがなくなったからもう大丈夫!ではなく、痛みを感じたら早めに歯科医院を受診しましょう。

小さいむし歯であれば、歯を削る量も少なく、簡単に終わる治療ができますが、進行してしまっているむし歯は削る量も多く、歯へのダメージも大きくなってしまいます。歯に痛みがある時点で、むし歯はかなり進行しています。

早めの歯の治療が自分自身を救うことになります。

自分の歯でいつまでも健康的に食事をするには、年に数回の定期健診・クリーニングが欠かせません。自覚症状がなくても検診でむし歯が見つかったら治療を開始しましょう。

進行したむし歯を治療するのは、強い痛みを伴います。早めに治療する事で歯の痛みはもちろん、体の負担を減らす事が出来ます。

痛みが出る前に治療をするのが最善ですが、もし痛みが出た場合は早めに歯科医院に行きましょう。

では、なぜむし歯の痛みを感じなくなることがあるのでしょうか?

これには恐ろしい理由があるのです。痛みが治まったとしても、それはむし歯が治癒したわけでは決してなく、むしろ逆にむし歯の悪化によって神経が侵されてしまった結果、痛みを感じなくなってしまっているのです。

激痛だったむし歯が痛みを感じなくなったという場合、ほとんどの場合で神経をとる治療が必要になります。最悪の場合は抜歯することもあります。

またむし歯が進んで大きな穴が開くと、噛む力によって歯が崩れ、頭の部分がなくなり、歯の根だけが残り、その歯ではもう噛めなくなってしまいます。

この状態を放置しておくと、隣の歯が倒れてきたり噛み合わせの歯が伸びてきて、歯並びと噛み合わせが悪くなってしまいます。

今回は、むし歯の痛みがなくなる理由を説明します。

歯の構造から痛みを理解する

人間の歯は、硬い組織であるエナメル質が中心部分の歯髄・象牙質を覆っています。白く見えるものはエナメル質であり、ここがむし歯菌の酸によって溶かされると、徐々に象牙質から歯髄へと進行し、組織全体が溶けてしまうと痛みすらも感じなくなってしまいます。

エナメル質に痛みはありませんが、第2層の象牙質は直径が0.8〜2.2マイクロメートルほどの細い管である「象牙細管」が第3層の歯髄にかけて通っており、象牙質がむし歯菌などの影響で何らかの異常を感知すると、刺激が歯髄に伝わって痛みを知覚できる仕組みになっています。

むし歯・冷たいもの・ブラッシング・噛み合わせによる刺激で歯が痛むのは、象牙質がしっかりと刺激を受け取っている状態なのです。

むし歯の仕組み

むし歯は、むし歯菌の活動によって歯の表面から内部までが徐々に溶かされ、菌が侵食している状態です。お口の中に発生する細菌による疾患で、しっかりとケアを続けなければむし歯がどんどん進行し、侵食が進んだ箇所を中心に痛みを感じるようになります。

むし歯は、歯の表面のエナメル質や象牙質が酸に侵食されることで引き起こされます。
初期段階では、歯の表面に小さな穴ができることで歯の神経に刺激が与えられ、痛みを感じることもあります(知覚過敏といいます)。

歯がしみたり痛くなるのは、むし歯が歯の最初の層(エナメル質)から2番目の層(象牙質)に達した合図です。エナメル層だけがむし歯の場合、痛みはほとんど感じません。
むし歯が象牙質にまで達すると、冷たいものなどを食べたときにズキズキと痛むようになります。しみたり、ズキズキ痛むのはむし歯の進行を現しています。むし歯の状態で言うと黄色信号。我慢をしないで、早く歯科医院へ行くことをおすすめします。

歯の痛みで最も多いのは、むし歯が神経に達した「歯髄炎」を起こしている場合です。ですが、むし歯の歯の痛みの場合、突然何の前触れもなく起こるというよりは、その前に、歯の象牙質にむし歯が達していたことにより、甘いものや冷たいものでしみる、といった前兆が起こっている場合が一般的です。

むし歯がさらに進行すると、激しかった痛みが急におさまり、全く痛まなくなることがあります。痛みが治まっても、むし歯は治っていません。痛みがなくなり嬉しいようにも思うかもしれませんが、基本的に痛みのあるむし歯は自然治癒しませんので、これは悪い状況です。

なぜ急に痛まなくなったのか

今まで痛みがあった歯が、急に痛まなくなった時というのは、むし歯が進行し、歯の神経が死んでしまった時です。

歯は、一番表層がエナメル質、二番目は象牙質でできており、その内側に歯の神経があります。エナメル質だけがむし歯になっている初期の状態では痛みはほとんどありません。
むし歯が象牙質にまで進行してくると、冷たいものがしみたり、甘いものを食べると、痛みを感じたりするようになります。
そしてむし歯が神経にまで達すると、痛みが強くなり、何もしなくてもズキズキと痛むようになります。ひどい痛みで頭痛がする事や、眠れなくなる事もあります。
そのまま神経を侵し続け、神経が死んでしまうと、痛みを感じる事が無いため、むし歯は進行している状態にも関わらず、痛みが無くなります。

虫歯の痛みが一時的におさまる原因

虫歯の痛みが一時的におさまる原因を3つにまとめます。

①痛みの閾値の変化

むし歯による痛みは、初めは軽度ですが、どんどん悪化します。痛みを感じ続けると、痛みの閾値が鈍くなり、だんだん痛みがわからなくなってくることがあります。これによって、痛みが治まった気がするのです。

②痛みの一時的な軽減

歯の痛みと体調、ストレスの関係はとても密接で、体調の回復に伴って、痛みがおさまったように感じることがあります。

③神経の死滅

むし歯が進行すると、歯の内部の神経に刺激が与えられます。最初のうちは痛みを感じますが、神経が死滅すると一時的に痛みを感じなくなることがあります。これは、神経が刺激を感じる能力を失ったためです。

神経が死滅するとどうなるのか?

歯の神経が死滅すると、痛みを感じられなくなるので、歯の内部のトラブルに気が付くことができなくなります。
むし歯菌が顎の骨に侵入し、血液から血管を通じて全身に回るのです。
これは最も危険なケースであり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすきっかけになるのです。

むし歯や歯のトラブルがある場合は、できるだけ早く歯科で治療することが大切です。

◎虫歯の痛みが一時的におさまることがありますが、痛い歯が自然治癒することは基本的にありませんので、トラブルを疑った方がいいと思います。

むし歯が進み神経が死滅すると、痛みを感じないまま症状が進み、命にかかわる問題につながります。歯に異変を感じたら、できるだけ早めに歯科医院にご相談ください。

むし歯を放置するとどうなるのか?

むし歯は、ごく初期のむし歯を除いて自然に治ることは絶対にありません。痛まなくなったからといって、むし歯が良くなったわけではありません。一度痛みがあった歯が、痛まなくなったという事は、むし歯がかなり進行しているということです。放置すると危険な状態になることがあります。
痛みを感じるのは歯の神経(歯髄)です。歯の神経が感じとるむし歯の痛みは、進行すればするほど強くなります。さらに、むし歯が神経まで広がり神経が死んでしまった場合、痛みがなくなるのです。

重篤なむし歯は歯を失う危険もあります。

痛みが消えたと思っている間もむし歯は進行します。むし歯がさらに奥まで進行すると、歯以外にも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、むし歯が進行し歯の中の細菌が顎にまで影響を及ぼすことがあります。顎の炎症(顎骨炎)がさらに広がると、炎症によって出てくる毒性物質が歯肉の血管から全身に入り様々な引き起こしたり悪化しむし歯から全身の疾患へとつながるリスクもあります。

むし歯を放置した場合どのようになるのか、程度の軽いものから順に、解説していきたいと思います。

①根の先に膿が溜まる

根尖病巣(こんせんびょうそう)といって、神経の空洞の中で増殖したむし歯菌が、根の先に漏れ、膿の袋を作った状態です。徐々に膿の袋は大きくなり、腫れや痛みを繰り返します。根の中から膿を出し消毒をする治療を行います。場合によっては、歯ぐきを切開して膿を排出させる場合もあります。根の先の病巣が無くなるまで、繰り返し治療を行う必要があります。

②上顎洞炎

上顎の奥歯は、鼻の副鼻腔という空洞近くに位置しています。副鼻腔の中でも上顎洞は、歯の根の先と距離が非常に近いため、根の先に膿が溜まると、上顎洞に流れ溜まるようになります。口臭が強くなることや、頭痛・目の下の痛みがでることがあります。場合によっては、顔面が大きく腫れる事もあります。
抗生物質を服用しながら、根の治療を行い、上顎洞内がきれいになるまで膿を取り除きます。

③顎骨骨髄炎

歯の根の中の細菌が、顎の骨にまで広がってしまうことがあります。顎の骨に感染することです。骨髄炎になると、強い腫れ・発熱・寒気・嘔吐などの症状がでます。全身の倦怠感が強くなり、口を開けるのが難しくなることもあります。
原因と思われるむし歯の治療後、骨髄炎の治療を行います。膿が出ている場合には膿を排出させ、感染しているであろう骨や筋肉を取り除く外科手術が必要なこともあります。入院・抗生物質の点滴が必要になることもあります。

④アレルギーの原因になる

根の先に長期間、膿が溜まっていると、アレルギーの原因となることがあります。その影響で手や足に嚢胞(のうほう)症状が現れることがあります。

⑤心筋梗塞や脳梗塞を起こす

むし歯菌が広がり、歯ぐきや顎の骨から血液の中に入り込むと、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことがあります。高齢で免疫力が低下している方などは、むし歯菌が肺に入って、肺炎を引き起こすこともあります。

⑥むし歯菌が全身に感染する

むし歯菌が増加し、血液中に入り込み、全身に感染することがあります。心臓や脳・骨などに感染すると死に至ることもあります。
健康な人で起こる事は稀ですが、身体の免疫力が低下している時には危険が高まります。多くの人は、その状態になる前に、痛みや腫れなどで耐えられず受診して処置を受けますが、むし歯を放置しておくととても危険な状態になることがあります。

 痛みの原因がむし歯でない場合

突然の歯の痛み、不安になってしまいますよね。歯が痛いと「むし歯かな?」と思ってしまいがちですが、実は歯の痛みを起こす原因はむし歯だけではありません。

自分ではむし歯があると思っていても、痛みの原因がむし歯では無い場合もあります。むし歯と間違えやすい痛みの代表的なものを挙げていきます。

突然歯が痛み出す場合、次のような可能性が考えられます。歯痛の原因は、歯科医師が実際に視診や触診、レントゲン診査を行うことで診断します。ここでは痛みの原因について可能性として考えられるものをご紹介しますが、痛みがある場合には、自己判断をせず、早めに歯科医院を受診しましょう。

①知覚過敏

知覚過敏は、むし歯がないのにもかかわらず、歯が温度刺激などにより痛みを感じる場合を言います。

象牙質が露出した部位などに、冷たいものが触れると、ズキンと一瞬痛みが走ることがあります。むし歯のように細菌感染しているわけではありません。知覚過敏は、改善することがありますので、痛みが無くなったと感じることもあると思います。

知覚過敏を起こす主な原因は、歯茎が下がり、歯根が露出することによって象牙質が剥き出しになる、といったことです。

この他にも、歯がすり減ってエナメル質がなくなり、象牙質が出ることによって知覚過敏を起こすこともあります。

エナメル質が傷ついてしまった場合に象牙質が外に現れ、外からの刺激が伝わりやすくなっています。フッ素などでエナメル質を強化しながら、むし歯が発生・進行しないように注意が必要です。

知覚過敏とむし歯の違い

知覚過敏とむし歯の違いは、歯の色に変化があるかないか・部分的な欠けや凹みがないかどうかといった見た目の違いのほかに、歯がしみる時間が持続するか否かにも違いがみられます。10秒前後の持続にとどまる知覚過敏とは反対に、むし歯の痛みは数分からそれ以上続く場合があります。

②歯周病

歯周病が進行すると、歯茎が下がり、歯の根の表面が露出するので、刺激によって歯が痛むことがあります。また、歯がグラグラと揺さぶられるので、噛む時に痛みを感じることがあります。
歯周病は、免疫力が低下している時や、女性の場合は出産前後や月経前後・更年期などホルモンバランスが乱れる時に、急性炎症を起こしやすくなります。そのため、一時的に症状が出て痛みがでるものの、体調の変化によって痛みが治まることがあります。

歯茎が炎症を起こす歯肉炎や、歯を支えている骨まで溶け始める歯周炎のことを歯周病と呼びますが、歯茎に強い炎症を起こしたり、膿が溜まって腫れたりすると強く痛みを出すことがあります。

歯周病は、口の中にいる細菌が歯ぐきに感染し、歯ぐきとその奥の骨までも破壊していく炎症性・感染性の疾患です。日本人の中高年層の多くが歯周病を患っているといわれていますが、自力でケアをすることも可能です。

歯周病にかかると歯ぐきの腫れ・痛み・出血・歯周ポケットが現れ、さらにケアを怠ると細菌が歯周組織をゆっくりと破壊していき、歯のぐらつきやがたつきが出てきて、歯を支える力がなくなってしまうため、やがて歯が脱落してしまいます。

③根尖性歯周炎

これは、歯根の先端周囲に炎症を起こして膿を溜めている状態です。

むし歯が原因で根尖性歯周炎になることもありますが、昔神経を抜いた歯が、後になって根の先に炎症を起こすことがあります。歯が浮いたような感じがしたり、噛むと痛むなどの症状があります。
体調によって痛みの程度が変化することがあるので、痛みが無くなったと感じる事もあるでしょう。

これらの症状の場合には、痛みが治まることが考えられます。 ただし、膿が溜まっていても、慢性化していて痛みを出さないことも多く、何らかのきっかけで急性化すると、噛むと痛みを感じたり、ズキズキと強い痛みとともに歯茎が大きく腫れたりすることもあります。しかし、いずれの場合も、むし歯ではないとはいえ、早めに受診をすることが必要です。

 ④歯根破折(しこんはせつ)

歯に亀裂が入る、歯が割れる、といったことでも痛みが起こります。神経が入っている場合には、まずは冷たいものや熱いものでしみる症状、噛むと痛むという症状などが起こってきて、神経の炎症がひどくなると、ズキズキと強い痛みを起こしてきます。

神経がない場合には、噛むと痛い症状、重苦しいような鈍痛に加え、歯茎が腫れて痛い、というような症状も起こってきます。

⑤外傷(歯をぶつけた)

歯を強くぶつけると、歯を骨とつないでいる歯根膜と呼ばれる靭帯がダメージを受け、痛みを感じることがあります。

 

⑥咬合性外傷(噛み合わせが高い、歯ぎしり・食いしばり)

噛み合わせが強く当たりすぎると、歯と骨をつなぐ歯根膜にダメージを受け、痛みが出てきます。例えば、新しく詰め物や被せ物を入れた際に、噛み合わせが高い状態になっていると、噛んでいるうちにだんだんと歯に痛みが出てきます。

◎また、歯ぎしりや食いしばりによって歯に強い力がかかり続けている場合、また、強い力がかかっていなくとも、歯をぐっと噛みしめたり、カチカチと噛み合わせたりする癖により、歯に痛みが出ることもあります。

事故や噛み締め、歯の治療後にもろくなっていて欠けてしまうなどのトラブルで、歯の破損箇所に刺激が伝わると、知覚過敏のような痛みが起きてきます。歯の欠け・割れから細菌が入り込むと内部に炎症が起きるため、ズキズキとした痛みを感じるようになります。

⑦親知らず

親知らずは歯列の一番奥に存在する大臼歯です。顎の骨の大きさ、顔の輪郭によって親知らずの生え方には個人差があり、歯茎に埋まったまま上に出てこないものも少なくありません。

まだ表に出ていない親知らずとその周辺は無防備な状態です。放置していると歯肉が炎症を起こし「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」に注意が必要ですが、生えてこようとして親知らずが動くとむし歯や歯周病とは違ったズキズキ感が出たり、圧迫感を感じやすくなったりします。

 

歯以外の原因によるもの

歯や歯茎、骨などの周囲組織に全く問題がないのに、近くの器官や組織の病気、炎症、神経痛、遠くの臓器、ストレス、心因性のものが原因で歯が痛く感じることもあります。

具体的には、次のようなものです。

・咬筋(噛む筋肉)の痛み

・副鼻腔炎の痛み

・三叉神経痛

・帯状疱疹後の神経痛

・頭痛

・心筋梗塞、狭心症

・口内炎

・うつ病、統合失調症など心因性の病気

・原因不明のもの

歯以外に原因がある(非歯原性歯痛)

歯以外に痛みの原因がある場合、その痛みは専門用語で非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)と呼ばれます。歯科医院を受診する患者さんの約1割は非歯原性歯痛で受診しているともいわれています。筋膜や神経障害、心臓といった重要な臓器に由来している痛みもあり、全身の健康に注意しなければなりません。歯痛を引き起こしている原因はさまざまで、顎の筋肉痛や炎症、心臓疾患や神経疾患などが考えられます。

①筋膜性歯痛

筋膜性歯痛は、首から顔にかけての筋肉が疲労すると筋肉に「トリガーポイント」が生じ、そこから痛みが伝わって歯や顎周りに痛みを感じるようになります。首や肩の慢性的なコリとともに重たくうずくような痛みがある場合は、筋膜性歯痛が疑われます。

②神経障害性歯痛

神経障害性歯痛は、神経痛の一種であり歯そのものに原因はありません。末梢神経や中枢神経が何らかの原因で障害を受けた場合に、発作性または持続性の歯痛となります。たとえば帯状疱疹に罹患し、疱疹が首や顔周りに現れた際に、神経が障害されて痛みが歯に現れる場合が考えられます。

③神経血管性歯痛

神経血管性歯痛は、偏頭痛(片頭痛)や群発頭痛といった血管性のトラブルを原因とする歯の痛みです。突発的に激痛が走るケースと、じわじわ・じりじりとした痛みが延々と続くケースに分けられます。

④心臓性歯痛

心臓性歯痛は、心筋の内部を走る冠状動脈が詰まりを起こして発生する心筋梗塞などを原因とする歯の痛みです。胸にも痛みや閉塞感を感じ、息苦しさをともなう場合が多いため、既往症の有無にかかわらずすぐに心臓の専門医を受診してください。

⑤上顎洞性歯痛

上顎洞性歯痛(じょうがくどうせいしつう)は、上顎のさらに奥に存在する空間(上顎洞)に細菌などが侵入し、炎症を起こして痛みを感じる疾患です。歯のトラブル以外に副鼻腔炎を疑う必要があり、耳鼻咽喉科での診察が必要になります。

⑥精神疾患による歯痛

精神疾患による歯痛は、重いうつ病や統合失調症などの疾患によって痛みを知覚するケースです。歯と歯ぐきに問題がなければ、精神科での診察・治療が必要です。

⑦特発性歯痛

突発性歯痛は、原因がよくわからず歯にも歯ぐきにも問題がない場合の歯痛です。体の歪みや偏頭痛の影響など、あらゆる疾患やトラブルを視野に入れて考える必要があります。時間の経過をみながら痛みの推移をチェックし、必要に応じて医療機関を受診してください。

◎痛みが我慢できない場合には市販の痛み止めをとって痛みを緩和させましょう

ただし、神経の炎症など強い炎症が起きていて痛みがある場合には、痛み止めが全く効かない場合もあります。

「歯が痛い」と感じても、必ずしもむし歯だとは限りません。
実際に歯が痛んでいるのか、歯茎が痛んでいるのかで、その原因は異なります。

歯そのものが痛い場合は、むし歯と知覚過敏が大半を占めます。
むし歯の場合、痛みがあるということはある程度進行している可能性が高いと言えます。特に虫歯が歯髄にまで達した場合は、激しい痛みを伴います。

◎夜に歯が痛くなる原因

夜に歯が痛くなりやすいのには、いくつかの原因があります。

①横になるので頭の血流量が増える

たちが活動的な日中は、重力によって血液が下へ下へと流れていきます。
しかし夜は、寝転がってテレビを見ることもあるでしょうし、寝るときは当然横になります。血液が頭部へと流れ込み血管が膨張すると、その近くにある神経が圧迫され、それまで隠れていた痛みが表出しやすくなります。

②リラックスするため副交感神経が活発になる

日中に優位になり血管を収縮させるなど身体の調節をしてくれるのが、交感神経です。対して夜は、血管の拡張などを促進する副交感神経が優位になります。そのため、痛みなどの症状を感じやすくなります。

③入浴などで全身の血流が良くなる

入浴は、副交感神経を優位にします。また同時に、よく知られている通り血行を促進します。
そのため血管が膨張しやすく、同様に痛みを感じやすくなります。

仕事や学校が忙しいと、歯のメンテナンスは疎かになりがちですよね。むし歯は初期治療が大切です。痛みを我慢していると食事も満足にできませんし、生活にも影響があります。

またむし歯があり、むし歯の痛みがある日突然治まったと経験ある方は、ぜひ歯科医院で検査しましょう。

場合によってはむし歯が進行して、歯の神経が死んでしまったことが考えられます。むし歯が進行すると、神経に近づくにつれて痛みは大きくなりますが、そのまま放置しておくと歯の神経は死んでしまい、痛みを感じなくなってしまいます。

しかし、痛みを感じなくなったからといって、決して良くなったわけではありません。むし歯は自然に治ることはありません。痛みが無くなっても、むし歯は進行し続けます。放置すると危険な状態になることもありますので、痛みが無くなった場合も、必ず受診して治療をすることが大切です。

むし歯を早期発見するためにも、定期的な歯のメンテナンスが大切です。お口についてのお悩みもお聞かせくださいね。

 

編集者 医療法人フォレスト 長野フォレスト歯科 理事長 藤森 林