こんにちは。長野フォレスト歯科の添野です。
最近、急な雨に困ってしまってしまいますよね。梅雨明けも間もなくだそうです。
今回は「光学印象」についてお話させていただきます。
歯科治療に使う詰め物や被せ物を作るために、お口の中の型採りをすることを印象採得と言います。
これまで歯型を採る時に、オェっと嘔吐反射で気持ち悪くなった方は多いのではないでしょうか?嘔吐反射がない人でも苦手な方が少なくないと思います。そして、型採りに使用する粘土のような軟らかい材料が固まるまでの拘束時間も苦痛ですよね。痛みはもちろん、歯を削る音や匂いが歯医者を嫌いな理由のひとつにあるように、口の中に大きなものが入ることで、えずくことが歯医者に行きたくない理由になっている人もたくさんいると思います。
しかし、スマートフォンや家電がどんどん進化し、デジタルな時代になってきているように、歯科の世界でも技術革新が進み、医療機器のデジタル化がどんどん進んでいます。今回はその一つ、最新デジタル機器を使用した光学印象(歯型採り)を紹介したいと思います。
むし歯で詰め物や被せ物にする場合の大まかな治療の流れは、
①むし歯をとる②粘土状の型採り材にて形を記録する③出来上がってきた詰め物を歯科用接着剤で歯に付ける
ざっくりとですがこのような流れになっています。つまり、むし歯を削って出来た凹みにしっかり合う詰め物を作るための型採りが必要なのです。これまでの印象採得(歯型採り)は、大きなトレイに柔らかい素材がたっぷり乗っていて、それを患者さんのお口の中に入れて歯型を採っていました。しかし、この型採りに問題があり、型採り材が歯茎に当たることによって気持ち悪くなってしまう方が一定数いらっしゃいます。
また大きなものが口に入るので、呼吸がしづらかったり、えずいたり、また人的要素も大きく、正確な型採りが出来ていないと患者さんの噛み合わせに合っていない技工物(歯の詰め物や被せ物)が作られてしまいます。
また、型採りの後は石膏の模型を作って詰め物や被せ物を製作します。製作中に気泡が入ったり、割れてしまったりすれば再度型採りが必要になってしまうことがあります。その度に型を採り直したり、技工物の調整をしたりと効率も悪くなるという欠点もありました。それに比べ、光学印象は口腔内を直接スキャンすることで、印象材なしで型採りを行うことが出来ます。患者さんの型採りのストレスが軽減されます。むし歯治療において、新しい人工の詰め物や被せ物を作る際には、患者様一人ひとりの正確な口腔内の情報が必要です。
光学印象とは・・・
口腔内の様子(歯列)を小型カメラで撮影し立体画像化(3Dデータ化)し、モニター上に映し出す装置のことです。モニター上に映し出された口腔内の画像は様々な角度から確認出来ますし、拡大も出来るため、細部の様子をより詳しく把握できます。
印象材を用いた型採りよりも歪みが生じにく点も特徴です。
粘土ではなく光を当てることにより、凹みの形を記録するという型とりの方法です。これにより気持ち悪くなりづらい型採りができるようになりました。
光学印象のメリット
・嘔吐反射を軽減できます。
・従来発生していた手作業のミスも回避出来る
・診療時間が短縮できる
・高精密な光学印象が口腔内の細部まで捉えるため、正確な情報提供が可能
・スキャン画像を同時にパソコン画面に映すことができるため患者さんとイメージ共有することが出来ます。
・粘土と違い扱うものはあくまでデータなので変形の心配や輸送の時間がいらない
・光学印象は石膏などの医療廃棄物が不要になるので環境に優しい
光学印象のデメリット
・機械が高額
・扱える素材に限りがある
・光学印象での口腔内印象は現在自由診療のみに制限されている
・発注できる歯科技工所が少ない
・光の反射を利用するので、光が届かないような歯茎の下に入り込んでしまっている部分などでは、使うことが出来ない。
・お口が開きにくい方には適応できない場合がある。
まだ保険適応はされておらず自由診療のみの適応となりますが、今まで歯医者さんに苦手意識があった方も興味を持っていただければと思います!
編集者 医療法人フォレスト 長野フォレスト歯科 理事長 藤森 林