歯の豆知識

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むし歯のイメージは、「黒い、穴があく、痛い」などが一般的だと思いますが… 初期むし歯は真逆なんです!

こんにちは。長野フォレスト歯科の添野です。

新年度が始まり、慌ただしい毎日を過ごしている方が多いと思います。

満開の桜に癒されるのも束の間、散り始めてくるのを見ると少し寂しい感じがしますね。

今回は「初期むし歯」についてお伝え出来たらと思います。

むし歯というと「黒い」とか「穴があいている」というイメージがありますが、「穴の開いていない」むし歯もあります。
それがむし歯のできはじめ段階の初期むし歯です。乾燥させると肉眼では白く見える場合が多く、ホワイトスポットと呼ばれることがあります。
みなさんがイメージするむし歯は褐色、または黒色…穴が開いている…しみる…痛いなどの自覚症状がある場合が多いと思います。
穴になったり痛みがでると、むし歯を削って治療しないといけなくなります。
初期むし歯の段階で気づけば健全な歯に戻る可能性があります。
初期むし歯を治すには、歯磨きの仕方と食生活の見直しに加え、フッ素(フッ化物)配合歯磨き剤を適切に使用することが大切です。
むし歯は早い段階で気づく事が大切です!
当院には、フッ素配合歯磨き剤やガムなどむし歯予防に効果的なアイテムをご用意しておりますので、お気軽にお声掛けください。

むし歯は、出来るだけ初期のうちに発見し、治療に取り組むことが重要です。

そのためには、初期むし歯について理解を深めておかなければなりません。
そこで、むし歯の原因や特徴、症状について知りたい方のために、押さえておきたいポイントを解説しようと思います。
この記事を読むことによってむし歯の予防や早期発見が出来るようになり、早い段階で治療に取り組めるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。

初期のむし歯について知る前に、まずはむし歯になる根本的な原因を理解しておくことが大切です!

目次

▽むし歯の原因とは△

むし歯は、細菌感染によって発症する病気です。歯の表面にできる歯垢(プラーク)に繁殖する細菌の働きで歯のエナメル質が溶かされ、むし歯につながっていきます。

穴があく原因は、ミュータンス菌です。
この菌は、歯の表面についた歯垢(プラーク)に棲みつき、糖分を栄養にして酸を出します。

この酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、その部分に穴をあけることによって虫歯になるのです。

虫歯はいきなり穴があいて痛みが伴うというわけではありません。
徐々に歯が溶けて穴があいていって虫歯になるのです。

▽歯垢の原因△

歯垢は、細菌のかたまりであるとともに、細菌の住み家でもあります。歯磨きを怠ってしまったような場合に発生し、ねばねばしていることからうがいなどでは落とせません。
人によっては、唾液の分泌量が少ないために口の中に汚れが蓄積しやすく、歯垢が溜まりやすくなっている方もいます。 口の中の乾燥を感じることが多い方は、特に注意が必要です。

▽歯の表面の歯垢で細菌が繁殖する△

むし歯の原因となる細菌は、歯の表面に形成された歯垢(プラーク)を住みかとして繁殖します。歯垢は、白くて軟らかく、一見するとそれほど汚いものには見えませんが、1gあたり1000億個の細菌が含まれています。お口の中は、肛門よりも細菌の数が多い(=汚い)、という表現がされることがありますが、間違いという訳ではないのです。

しかし細菌の数が多くても、善玉菌が占める割合が多ければ、必ずしも不潔であるとはいえない点にご注意ください。

▽細菌の栄養源は糖分△

むし歯菌は、砂糖(糖分)を栄養源として成長します。そのため、普段から糖分を多く含む食べ物や飲み物をとることが多い方は、むし歯のリスクが高まってしまいます。
それに加えて適切な歯磨きが出来ていない場合はむし歯になりやすいです。

▽むし歯は細菌感染症の一種△

意外に忘れられがちなのですが、むし歯は細菌への感染によって発症する病気の一種です。

いわゆる“細菌感染症”です。風邪や胃腸炎なども細菌が原因となって発症することもあるため、もしかしたらむし歯も自然に治るのでは?と思われる方もいらっしゃると思います。それは大きな間違いです。

むし歯は自然治癒せず、放置すると症状がどんどん進行していく病気です。ただし、初期のむし歯は例外であり、歯を削らずに治せることもあります。

▽むし歯は黒いとは限らない△

むし歯の初期の段階では、歯の表面のカルシウムなどが溶け出し(脱灰・だっかい)、白く濁ったようになります。
特に小中学生で歯ぐきに近い部分や奥歯のかみ合わせに見られます。
むし歯というと「黒い」「穴が開いている」「痛い」というイメージがありますが、この初期の段階では黒くなく、
穴も開いていないうえ、痛くもありません。触ってみてもデコボコはなく、健康な歯と同じようにツルツルしています。
しかし、この初期むし歯が進行すると穴が開いた状態になっていきます。

初期むし歯の進行はプロの目でないとなかなか見分けがつきません。
初期むし歯に特有の表面の白濁は、プラーク(歯垢)がその上に付着していると見えませんし、唾液に濡れていると光の反射のせいではっきり分かりません。そのため歯科医院での精査が必要です。

しかし初期むし歯を早期に発見して対処できれば、溶け出したカルシウムなどがまたくっつき(再石灰化)、見かけが元通りに戻る可能性があります。
この時にカギを握るのが「フッ素」です。フッ素には再石灰化のスピードを促進する働きがあります。

▽初期のむし歯は治療するべき?△

初期のむし歯は、歯科でも治療をしないことがあります。これは、削ってしまうとそこが細菌の住処になる恐れもあるためです。レジンやパラジウム(銀歯)で修復すると、その接着の隙間にむし歯菌が生息することがあります。そうなるとむし歯菌は修復物の下で活動し続け、気がつくと歯に痛みを覚え、「神経を取る処置が必要になる」ということもあります。

そうなると「削らなければむし歯が進行してしまうのでは?」と心配になってきます。しかし、COやC1はエナメル質という歯の中でも最も硬い組織です。ですから、むし歯の進行も比較的遅く、且つ「再石灰化」という歯を溶かすむし歯の初期症状「脱灰」を修復する作用を繰り返すことにより、治癒することがあります。

歯医者の経過観察とは、しっかり歯磨きを行い、フッ素の塗布やフッ素入り歯磨きを使うことで再石灰化を促す期間と考えましょう。「むし歯ですが経過観察しましょう」と言われたら、毎日のケアをしっかりして、定期的に歯科で進行していないか、治癒しているかを確認してもらいましょう。

▽どうして初期虫歯を削るべきではないのか△

最近の研究では、初期むし歯は①口の中の細菌環境を整え(プロバイオティクス)、②フッ素の継続的な使用による再石灰化、③定期的な検診とクリニックでの予防措置により、多くの場合むし歯の進行を食い止めることができることが分かっています。

だから初期むし歯は出来る限り削らずに治したいものです。削らずに治せるかどうか、正しく診断することと、計画的で確実な経過観察が大切です。

▽初期むし歯は見分けが難しい△

初期むし歯の白濁は、歯のエナメル質が歯の表層下(歯の表面から一層内側)で溶けだした状態です。

よく見ると光沢がなくなっているのですが、歯に付着した歯垢との見分けが難しく、医師でなければなかなか判断が出来ません。

初期むし歯は唾液による再石灰化だけで状態が良くなることもありますが、症状が進行していくこともあります。

まずはご来院いただき、適切な診断と処置を受けていただくことをお勧めします。

▽初期むし歯の特徴△

むし歯の段階で治療に取り組めるようにしましょう。

そもそも、どういったものが該当するのかから解説します。

①歯に穴は開いていない

初期段階のむし歯では、歯に穴は開いていません。小さな穴が開いた段階を初期虫歯と考えてしまうことがありますが、穴が開いた場合は中期以降となります。
初期むし歯は健康な歯とほとんど変わりなく、舌で触ってみても他の歯と違いはありません。そのため、なかなか初期の段階で気づくことが難しいといえるでしょう。
穴が開いてからようやく虫歯に気付く方が多いです。

②痛みはない

痛みについても初期の段階ではありません。そもそもなぜ歯が痛むのかというと、大きな原因は歯の神経が外から刺激を受けることが関係しています。
神経は歯の内部にあるため、刺激を受けるのは、歯に穴が開いた段階です。初期段階は歯に穴が開いていないため、痛みを感じることはありません。もし、すでに痛みを感じる虫歯がある場合は中期以降と判断し、できるだけ早く治療に取り組むようにしましょう。

▽初期むし歯の症状は、以下2つの状態で異なります△

初期むし歯とは、検診などで耳にする「CO(シーオー)」のこと。
「C」はむし歯を意味するカリエス(Caries)で、O~4は、むし歯の進行度を表します。
「O」は数字のゼロではなく、「オブザベーション(Observatioon)=観察」からきたO(オー)で、「要観察歯」のことを言います。

「要観察歯」は、歯の表面が “白く濁ってしまう” 程度の初期むし歯なので、再石灰化を促すことで修復することが出来ます。

①CO:歯が白く濁る

②C1:歯の表面が黒くなる

それぞれの状態について、順番に解説します。

▽【むし歯の初期症状や特徴・状態①】CO:歯が白く濁る△

削らなくても治るといわれている初期むし歯は、CO(要観察歯)というものです。

正確には、むし歯になる一歩手前と表現するほうが適切かもしれません。

COの状態は、歯にくすみがみられたり、白濁したりしています。ただし、痛みはまだありません。

実は、健康な歯の表面にあるリン酸カルシウムもむし歯菌によって日々溶かされています。

歯の表面には、エナメル質があり、COとはエナメル質が溶け出した状態です。

しかし、エナメル質が溶け出すというのは具体的にどのような状態なのでしょうか。

エナメル質は、大半が「リン酸カルシウム」という物質で主に構成されており、その他に、亜鉛やクロム、マグネシウムなど40種類ほどの成分が含まれています。しかしその割合は微量なので、ほとんど「リン酸カルシウム」で構成されていると考えても問題ありません。

だらだらと食事をしていたり、酸っぱいものばかり食べていると飲食物の酸が口の中に広がり、酸性に偏ります。口の中が酸性に傾くとリン酸カルシウムが溶け始めます。具体的には、エナメル質に含まれる「リン」と「カルシウム」が唾液の中に溶けていくのです。 

これを脱灰と呼んでいますが、食事の度に起こっているのです。しかし、それと同時に唾液の力で溶けた表面を修復しています。これが再石灰化です。

普段は、脱灰と再石灰化が同時に起こっているので、むし歯にはなりません。
しかし、脱灰の進行が再石灰化より早くなると、徐々に歯が溶け出していきます。
この、歯が溶け出し始めている状態がCOなのです。

脱灰が起こりにくくなるようにして、再石灰化を促せばCOは改善します。
ただし、COの状態は見た目が健康的な歯とほとんど変わらないために、見逃しやすいのが注意点です。

また健康的な歯の表面は、艶や透明感がありますが、初期むし歯になると少しずつ歯が白く濁るようになります。
そのため、周囲の歯と比較して確認してみると良いでしょう。歯の表面に白いシミのようなものがついて見えるのが特徴です。これは、白濁や白斑と呼ばれるものであり、歯垢とは異なります。歯垢と勘違いしてしまうと初期むし歯に気付くのが遅れてしまうこともあるので、注意しましょう。

【初期のむし歯が白くなる過程】

①飲食後、歯の表面にプラーク(細菌の塊)が付着し、プラーク内の細菌が糖を分解して酸をつくり、つくられた酸がプラークの中に充満する。

②むし歯が出す酸によって歯のエナメル質が溶け出し、「脱灰(だっかい)」が起こる

②歯の結晶の構造が崩れて隙間ができ水や空気が入り込む

③光の屈折率に違いが生じ、白く濁って見えるようになる

④中の成分がさらに溶け出し、結晶内に気泡のようにスカスカの部分ができ、やがて表面がボロっと削れて穴のあいたむし歯になる。

このように、歯の成分が溶け出し、スカスカの部分が出来て、この部分が光の屈折によって白く濁って見えるんです。

COの段階では、歯の痛みは全くなく、歯の変色が唯一の症状になります。

学校の定期健診や他の歯のトラブルで歯医者で診てもらった時に偶然見つかる場合が多いようです。 

むし歯というのは、段階を経て進行する病気です。初期の初期はCO(シーオー※カリエスオブザベーション)という「むし歯とは言い切れないもののむし歯の初期症状と疑われる状態」から始まり、エナメル質という最も外側の組織のむし歯であるC1、象牙質に及ぶC2、神経に達するC3、抜歯が必要になるC4へと移行していきます。この進行を止めるには治療が必要で、むし歯の治療とはむし歯に侵さられた歯質を取り切る必要があります。

そこで皆さんは「歯医者で治療が必要」と、どこで判断されますか?

意外に多いのが「しみたり痛いと感じたら」という答えです。しかし、これが大きな失敗となってしまいます。実は痛みが生じるむし歯は、既にC2・C3に達している可能性があります。初期のむし歯、COとC1では痛みを感じないことがほとんどですので、よほど目を凝らして口の中をチェックするか、歯科の定期検診で見つけてもらわなければこの段階での対処は難しくなるのです。

白いむし歯を放置しているとやがて穴が空いたり、茶色や黒色になったりする可能性があります。

乳歯や生えかけの永久歯は、大人の歯に比べると歯質が未熟です。

そのため、酸に弱くむし歯の進行も早く進むという特徴があります。また子供のむし歯を放っておくとその後生え変わる永久歯までむし歯になりやすく、歯並びや顎の成長に悪い影響を与えることもあります。

さらに上記のような症状でもむし歯ではなく歯の表面のエナメル質が何らかの理由によって作られない「エナメル質形成不全」というケースも考えられます。

▽【むし歯の初期症状や特徴②】C1:歯の表面が黒くなる△

C1(シーワン)は、歯のエナメル質が解けて、表面が黒くなります。
しみたり痛みを感じたりすることは、ありません。また、小さな穴が開いてしまう場合もあります。
この状態では、菌が歯の内部まで進行している可能性があります。

一度穴が開けば、正しい歯磨きだけでの修復は困難です。
小さな穴が開いていると感じたら、歯科医院で早めの治療を受けましょう。

初期むし歯が進行すると、歯の表面が変色していきます。歯の中だけでエナメル質が溶けているような状態です。白い歯が徐々に茶色くなり、さらに黒く見えるようになっていきます。
また、むし歯になりやすい部分である奥歯の溝についても確認してみましょう。溝部分が黒くなっていることがあります。奥歯の溝はむし歯になりやすい部分です。さらに、むし歯治療でつけた金属やプラスチックなどの周囲に、変色があると初期のむし歯が疑われます。まれにむし歯が内部まで進行している場合もあります。

奥歯は意識しないと見えない部分であり、発見が遅れてしまうことも多いです。

冷たいものや甘いもので歯がしみる場合にも、初期虫歯の可能性があります。

発見が難しい初期段階のむし歯を見つけるためには、普段からむし歯の可能性を疑い、注意しておくことが欠かせません。歯磨きの際などに、歯を観察しましょう。

▽デンタルフロスを通して毎回同じところで引っかかる場合は、初期のむし歯が疑われます△

デンタルフロスを活用することにより、むし歯に気づきやすくなります。

むし歯になると、デンタルフロスを使うと引っ掛かることがあるからです。
見た目に大きな変化はなかったとしても、毎回同じ部分でデンタルフロスが引っ掛かる場合は、一度歯科医院で検査を受けてみると良いかと思います。

普段、歯磨きをする際に歯ブラシのみ使用している方もいるのではないでしょうか。ですが、歯ブラシだけでは歯と歯の間部分に詰まった汚れを掻き出せません。
デンタルフロスを活用することによって歯ブラシのみでは取り除けない汚れを除去しやすくなるので、どちらも行ってみまてください。

デンタルフロスにはサイズがあります。自分の歯と歯の間の隙間がどの程度あるのかを確認し、それに見合ったサイズのものを選択することが重要です。太すぎるものを使うと隙間を広げてしまうこともあるので、注意してください。

▽初期むし歯を発見するには、主に以下2つの方法があります△

①自分の歯を観察する

②デンタルフロスを使う

順番に解説します。

▽【初期むし歯の発見方法①】自分の歯を観察する△

初期むし歯は痛みなどの症状がないため、自分の歯をよく観察することが大切です。歯磨きをする際は、明るい場所で鏡を確認してみましょう。

確認したいポイントは、「黄色い歯垢が残っていないか」「歯が白く・黒くなってきていないか」などです。

お口に異変を感じたら、歯科医院で状態を確認してもらいましょう。

初期段階のむし歯では、部分的に歯の表面にあるカルシウムが溶けます。他の歯と比較してみると、少し違いが見えてくるかと思います。光沢がなくなっているのが特徴です。
歯を観察する際には、歯と歯茎の境目に特に注目して見てください。歯茎が下がっていたり、根元部分が露出したりしている場合は初期むし歯の可能性があり、このような状態になると知覚過敏になっているケースも多いです。

また、むし歯のリスクが高い部分については念入りに観察することをおすすめします。

例えば、既に治療をした歯については、一度むし歯になったことのある歯で、磨き残しが発生しやすい部分です。また、詰め物の周りは隙間が出来てしまうこともあり、むし歯になりやすいので注意して確認してみてください。
磨きにくい奥歯についても確認が必要です。

▽これって初期むし歯?セルフチェック△

□歯の表面に白っぽい点や歯の根元が白っぽくなっている

□歯に黒い点がある

□歯に小さな穴が空いているように見える・舌触りがある

□歯の溝の線が黒もしくは茶色っぽくなっている

□歯の表面がザラザラしている

一つでも該当する場合は、もしかしたら初期のむし歯かもしれません。気になったら歯科医院にチェックに行きましょう。歯科医院では万が一むし歯でなくても、むし歯にならないような処置、むし歯になりやすい場所(歯垢や歯石が溜まっている場所)をキレイにしてくれたり教えてくれます。

▽【初期むし歯の発見方法②】デンタルフロスを使う△

デンタルフロスは、歯と歯の間の虫歯を見つける効果が期待出来ます。
例えば、使用後にボロボロになっている場合は、むし歯による引っかかりが原因となっている可能性があります。

また、デンタルフロスは、歯と歯の間の歯垢を取り除き、お口のトラブルを予防する効果が見込まれます。
日常的に、歯磨きの後に使うよう意識してみてください。

▽初期むし歯はプロの目で見ないと分かりません△

初期むし歯を見つけるためには、プラークを綺麗にとり、唾液を乾かしてから歯の表面を観察します。

また、過去の受診時の写真と変化を見比べてむし歯かどうかの判断をします。

歯と歯の隣あった部分を調べるにはレントゲンを撮ることもあります。

初期むし歯が中位のむし歯になるのは半年から1年程度です。

中位のむし歯から神経に届くまでの進行速度は倍くらいになります。

 

▽どうしたら初期むし歯を防げるのか△

ここではむし歯を予防し、初期むし歯で食い止めるための方法を3つ紹介します。

①丁寧な歯磨き

②長い時間口の中に食べ物を入れない

③定期検診

お口の健康を保つためにも、ぜひ参考にしてみてください。

▽【予防法①】丁寧な歯磨き△

毎日、丁寧に歯磨きをすることによって、口の汚れを落とし清潔に保つことが大切です。

初期のむし歯は、丁寧な歯磨きによって予防出来ます。歯科医院でのブラッシング指導によって学んだ方法を毎日の歯磨きに生かしていきましょう。一歯一歯丁寧に磨くことで、歯垢や歯石が溜まることもなくなります。

むし歯の原因であるミュータンス菌が酸を出さないよう、歯垢を落とし、食べカスを口に残さなければ、歯が溶け出す脱灰は進みにくくなります。

一回一回丁寧にブラッシングするのが大切であり、特に意識したいのが夜の歯磨きです。
寝ている間は唾液の分泌量が減り、再石灰化が起こりにくくなるのでむし歯のリスクが上がります。

再石灰化を促すためには歯の表面が唾液に触れるように、清潔にしておくことが必要です。

忙しい方は夜の歯磨きだけでも、10分以上を目安に丁寧にしてみてください。

▽【予防法②】長時間口内に食べ物を入れない△

ダラダラと食事をする習慣があると、むし歯菌の活動が活発になり、初期むし歯が発生しやすくなります。

間食の回数が多くなることでも初期のむし歯のリスクが上昇し、本格的なむし歯に進行しやすくなるため要注意です。

長時間お口の中に食べ物があると、食べ物に含まれる糖分を餌とするむし歯菌の活動が活発化して、歯のエナメル質を溶かす酸を作り出してしまいます。食べ物はよく噛んで、必要以上に時間をかけないことが大切です。

食事をする際はよく噛んで食べて唾液の分泌を促し、食べ終わったら口をゆすぐ、歯磨きをするなどの対策をとることが重要です。

特に、甘い飲み物を飲んだ後などは意識的に水を飲むようにすることをおすすめします。お菓子などを口にする機会が多い方も注意してみてください。

特に、甘いものや食べ物を頻繁に食べたがるお子様には注意が必要です。
保護者がしっかりと管理して、ダラダラと長時間食べ続けることがないようにしてあげましょう。

▽【予防法③】定期検診△

定期的に歯科検診を受けることでも、初期のむし歯は予防出来ます。三ヶ月に一回程度の頻度で検診を受診すれば、初期のむし歯を効率良く予防することが可能です。

また、検診の度に初期むし歯に対してフッ素を塗布を行えば、初期むし歯を削らずに治すことも可能です。

定期検診では、お口の状態チェックの他、自分では取りきれなかった歯垢や汚れの除去や、個人に合ったブラッシング指導もしています。

さらに、専門的な器具を使って汚れを落としてもらえるので、自分では取りきれない汚れまできれいにできます。

定期的に通うのを面倒に感じる方もいるかもしれませんが、むし歯になると長い治療期間が必要になることもあるので、予防に努めましょう。万が一、初期むし歯が発生していたような場合も、定期検診によって早期治療につなげることが可能です。
初期のむし歯は最初は痛みもなく、歯が白く濁る程度なので、むし歯の予兆に気づかないことも多いです。

初期むし歯を見逃さないために、定期検診も活用しましょう。

▽初期むし歯ができてしまったら△

削らなくても治るといわれている初期むし歯ですが、歯科医院ではどのように治療するのでしょうか。穴の空いていない初期むし歯をどのように治すのか、以下の項目で確認したいと思います。 

初期段階で治療出来れば、非常に簡単な治療のみで済むのが特徴です。場合によっては、歯磨きで治るものもあります。
ここでは、代表的な治療方法について解説します。

△ ①ブラッシング指導、プラークを取り除く▽

初期むし歯の中でも歯磨きのみで治る段階であれば、削ることなく改善が期待できます。 ポイントになるのは、ブラッシングをしっかり行い、歯の表面が溶かされる「脱灰」を抑えることです。
脱灰は食事の度に発生します。そして脱灰は歯垢によって引き起こされます。ブラッシングがきちんとできていないような場合は十分に歯垢を落としきれず、脱灰が進んでしまうことがあります。ですが、唾液の力によって溶けた歯を修復する再石灰化も起こるため、通常はむし歯になりません。 むし歯が発生するのは、再石灰化よりも脱灰のスピードが速くなってしまった場合です。
非常に初期段階のむし歯では、丁寧なブラッシングを行うことにより、再石灰化を優位にすることが可能です。歯科医院でブラッシング方法の指導を受けましょう。
歯磨きの仕方や食生活を改善して、お口の中に長時間プラークが溜まらないようにしましょう。

正しい歯磨きの方法を身に付けていただくために、歯科医院ではブラッシング指導を実施しています。自己流のまま歯磨きしていると、どうしても磨き残しが生じて、歯垢が溜まってしまうからです。歯磨きのプロフェッショナルである歯科衛生士からご自身にとって最適といえるブラッシング方法を学び、日々のケアで実践しましょう。特に奥歯の磨き残しにはご注意ください。その他、ブラッシング指導では、唾液による抗菌作用や自浄作用、再石灰化作用などにういても学ぶことがで出来ます。

脱灰をおさえれば歯が修復されて、初期むし歯の状態から改善することがあります。
歯磨きのクセを見直し、しっかりと歯垢を落とせるように、まずはブラッシングの仕方を見直しましょう。
脱灰で歯が溶け出すのを抑えられれば、唾液による再石灰化が優位になります。

歯に穴が開いてしまう前に、ブラッシングの方法を見直しましょう。

▼基本的な歯の磨き方▲

・ハブラシの毛先を歯面にきちんと当てる
・軽い力で磨く
・小刻みに動かして磨く
1か所あたり20回以上を目安に磨きましょう。
歯並びの悪い所、奥歯の奥、矯正装置の周りなど、歯ブラシの毛先が届きにくいところには「タフトブラシ」を使いましょう。
歯と歯の間はデンタルフロスや歯間ブラシなど「歯間清掃用具」を使いましょう。
歯と歯の隙間が狭い場所にはデンタルフロス、隙間の広い場所には歯間ブラシが適しています。

▽②クリーニング(PMTC)△

定期的に歯医者さんへ行って、歯ブラシでは取れない汚れや歯石をとってもらいましょう。

歯のクリーニングであるPMTCは、歯科医院でなければ受けることができません。歯の表面に付着した歯垢はもちろん、歯ブラシによるブラッシングでは取り除けないバイオフィルムやステイン、歯石なども一掃できます。

PMTCとは、自分で行うブラッシングでは落としきれない汚れなどを歯科医院で落としてもらうクリーニングのことをいいます。
毎日丁寧に歯磨きを行っていたとしても、すべての汚れを落としきることは出来ません。

歯ブラシのみで落とせる汚れは60%程度、デンタルフロスや歯間ブラシも併用すると90%程とされています。

ですが、残りの10%程度は専門的な器具を用いなければ落とせません。定期的に歯科医院で汚れを落としてもらいましょ

PMTCとは、すでに歯に定着して個人では落とすことの出来ない汚れを、歯科医師、歯科衛生士が専門の機器や技術を使って掃除することです。

歯垢は、時間が経つと固まってバリアを作ってしまうので、普通の歯磨きでは落とせません。
そのため、歯科医院の機械で除去することが必要です。

PMTCで歯垢を落とすことが出来れば、脱灰が起こりにくくなり、初期むし歯の治療になります。
また、PMTCは虫歯の予防や歯周病対策にも効果的で、口臭対策や歯の健康にも役立つ治療法と言われています。

▽ ③フッ素塗布△

フッ素は、歯科医院で塗布してもらうこともできますし、フッ素入りの歯磨き粉を使う方法もあります。

フッ素塗布とは、歯の表面にフッ素を塗り歯を強化する処置です。

フッ素配合の歯磨き粉を使って歯を磨いたり、フッ素塗布をしてもらい、フッ素による再石灰化を促進し、エナメル質の結晶構造を改善させます。ただし、エナメル質の表層下脱灰によって生じた白いシミは、フッ素で消せるわけではありません。エナメル質がそれ以上溶け出してしまうのを防ぐのがフッ素であり、見た目まで元の状態に戻すことは不可能といえます。

フッ素塗布することによって、エナメル質を強化して歯の再石灰化を促進したり、歯質を強化したりする成分です。

さらに、酸に弱い歯のエナメル質を守るため、酸を抑制する働きもあります。
つまり、歯を脱灰しにくくしてくれるのです。

同時にフッ素には、再石灰化を促してくれる作用があります。初期むし歯が自然治癒したり、進行停止したりする確率が上がります。

むし歯がない歯に対しては、フッ素を塗ることは保険適用外ですが、初期むし歯に塗る場合は保険が適用されます。

治療が簡単な初期むし歯ではありますが、予防出来るように取り組みましょう。効果的な方法について解説します。

 定期的に高濃度のフッ素を塗ることで、歯を硬くしてむし歯の進行を止められます。

特に、お子様の歯には効果的です。また、市販で売られているフッ素配合の歯磨き粉でも、長期間使用することで歯の再石灰化を促したり、酸が作られるのを防止することが可能です。歯の表面に歯垢が残っていると、初期むし歯が進行してしまうだけではなく、フッ素が歯に作用するのを邪魔してしまうので、歯垢は残さず落とすことが大切です。
歯を磨く時に歯磨き粉を使用しなくても良いと考える方もいると思います。しかし、最近の歯磨き粉はフッ素配合のものが多く販売されていますので、歯磨き粉を活用することがお勧めです。

▽早期発見・早期治療が重要△

もし初期むし歯が見つかっても挽回は可能です。

ただし、自然治癒せずむし歯になり、穴があいてしまう場合も否定は出来ません。

穴が空く前に定期健診を受診しましょう。定期的に歯科医院で診てもらうところまでが経過観察です。そうでなければただ放置しているだけになってしまいます。

当院ではブラッシング指導と共に定期的な経過観察を行なっております。 

初期むし歯のうちに治療を始めて、なるべく歯を削らず済むようにする事が大切です。

「初期むし歯」から「健康な歯」に戻るには、毎日のケアを続けることが大切です!

初期むし歯の段階であれば適切な毎日のケアにより再石灰化し、もとの健康な状態に戻る可能性があるからです。
他にも初期むし歯の段階で治療をするとなると、むし歯の部分以外にも大きく削る必要があり、健康な歯も削らなくてはなりません。
また、詰め物を詰めると詰め物とのすき間がどうしてもミクロ単位で空いてしまいます。
むし歯の菌は、その隙間から菌が入り込み、二次的なむし歯ができる原因となってしまいます。
そのため、初期むし歯の段階では治療をせず経過を見ていくことがあるのです。
しかし、初期むし歯を放置してしまうと進行していくので治療が必要になってしまいます。
初期むし歯の状態で、毎日のケアを継続していくことが大切です。
歯科医院での治療は、むし歯が発生して痛みを感じるようになってから検討する方が多いです。ですが、痛みを感じる段階はすでに中期以降になっており、治療する際にも痛みを感じてしまう恐れがあります。

今回ご紹介したように、出来るだけ早い段階で対応しましょう。

是非、定期的に歯科を受診して虫歯ゼロの健康な歯を目指しましょう!

穴の空いたむし歯にならないように、一緒にケアをしていきましょう!

 

編集者 医療法人フォレスト 長野フォレスト歯科 理事長 藤森 林