歯の豆知識

knowledge

TCH(上下歯列接触癖)〜本当にリラックス出来ていますか?〜

こんにちは。長野フォレスト歯科の添野です。

今年のゴールデンウィークは好天に恵まれ、夏を思わせるような陽気となりましたね。

疲れも出てくる頃かと思いますので、休息をしっかり取りましょう!

 

今回は「TCH(上下歯列接触癖)」というお話をしたいと思います。

歯が痛くて歯科に行ったけど「むし歯も歯周病もないので様子をみましょう」と言われた。また、入れ歯を何回も調整しているけど、調整してすぐは痛くなくなるが、またしばらくすると痛みが出る。新しく差し歯を入れたが、何度も噛み合わせを調整しているのにしっくりこないなどの経験はありませんか?

実はこれ、TCHを持っている可能性が高いです。その癖が原因でなかなか症状が改善しないことがあります。

TCHは就寝中の噛みしめに比べて、弱い力しか歯や歯周組織にかかりません。そんなことで歯周病にまで影響するのでしょうか?「顎関節に痛みがある」と来院される患者さんに対して歯科医師が「普段歯と歯が接触していませんか?上下の歯は少し離れているのが正常な状態です。日常での歯のポジションを意識してみて下さい」と話しているのを聞くことがあります。歯と歯が触れている程度の力なんて、そんなに大したものではないのでは…?と思った患者様も居るかもしれません。

◎TCH(上下歯列接触癖)とは

TCHとは、Tooth Contacting Habitの略で、「上下歯列接触癖」と言います。簡単に言うと上下の歯を無意識下で持続的に接触させ、安静にしているときでも上下の歯がどこか接触している状態がある癖のことを言います。

実は安静にして、唇を閉じているときでも上下の歯は接触していないのが正しいのです。およそ、1~3mm隙間が空いています。(安静空隙)上下の歯を合わせるためには、咬筋と側頭筋という筋肉を使っています。絶えず歯を接触させることは、その筋肉をずっと使い続けるということになるのです。

そのため、TCHがあると、咬筋が発達したような顔貌になったりすることもあります。なので、通常は筋肉を休ませるために歯は自然と離れているのが正しいのです。

皆さんは、歯が接触している時間は、1日どれ位だと思いますか?

実は、24時間のうち歯が接触しているのはたったの20分程度と言われています。
しかし、TCHがある方は上下の歯を気付かずに長時間に渡り接触させてしまっているんです。

上下の歯を接触することで問題が起こると聞くと、歯ぎしりや食いしばりを思い浮かべる方が多いと思います。

それらは一時的に強く噛んでいる状態のことですが、TCHは僅かな力でも「持続的に上下の歯が接触している」ということが違いとなります。この時間が極端に長い歯の接触癖を持っていることをTCHと呼びます。

◎どういう時に歯が接触するのが正解?

接触のタイミングは・食事などで物を噛むとき(咀嚼時)

・物を飲み込むとき(嚥下時)

・喋っているとき(会話時)

に瞬間的に接触するのみで、接触時間1日平均約17分であるという報告もあるそうです。

しかし、顎関節症の患者様では17分以上歯を接触させたままでいる割合が高く、歯を接触させていること自体が癖になっているため、認識がありません。

社会生活をしていく上での様々なストレス、勉強などでの集中、パソコンを使用した作業、スマートフォンの使用などで歯を接触する機会が増えます。

そして歯を接触させる状態が繰り返し継続していくと、歯を接触させること自体に脳が慣れて、接触していることが普通の状態になり、それに気付かなくなっていると考えられます。

TCHがあることで、必要のない力が顎の関節や筋肉への負担を増やし、色々な問題を引き起こす要因となる可能性があります。

◎TCHと歯ぎしり・食いしばりの違い

歯ぎしりは、寝ているときに歯と歯を擦り合わせるものになります。また、歯を噛みしめているだけの場合を食いしばりと言います。歯ぎしりが寝ているときに行っているものに対し、食いしばりは寝ているとき、また起きているときにも行っています。

強い食いしばりを長く持続させることは出来ません。ご自身で、グッと噛んでみてください。大抵、続けられても2~5分程度かと思います。それ以上は、顎に痛みを感じて難しいと思います。しかし、TCHは歯を弱く長く接触させることであり、食いしばりとはまた違うものになります。

TCHを持っていて、その状態に慣れてしまっている人では、とても弱い力であるために本人も行っていることに気付ずかず、筋肉や顎の関節への弱い疲れを感じる程度であるため,比較的長時間に渡り行うことができます。長時間歯を接触させた結果として、顎が徐々に疲れて、痛みが出現した段階で初めて気付くことになります。

◎TCHの原因

TCHの原因は、ストレスと悪い噛み合わせと言われています。また、家事(掃除・料理)テレビ、コンピューターゲームと日常のよくある行動の中でTCHは生じます。

TCHを起こす方の多くは、俯向いた状態で長時間集中してパソコンやスマホで作業を行うことやストレスを多く抱えている場合に起こりやすく、また、上下の歯の噛み合わせの不調和も原因になると考えられています。

何かに集中したり、パソコンなどをみながら作業しているときに行っている可能性が高いです。

仕事でずっとパソコンを使用したり、精密な作業を行っているとき、読書やスマホを見るために下を向いているときに多いようです。

またマスクをして頭を下げスマホを見る姿勢は、上下の歯が接触しやすくなります。

◎TCHが引き起こす問題点

歯への負担は「 力の大きさ × 時間 」で計算されます。
弱い力であっても長時間歯が当たっていることによって、歯や顎には大きな負担がかかります。
ずっと正座をしていると足が痺れてしまうように、長時間のTCHは様々な症状を引き起こしてしまうのです。

上下の歯の接触時間が長くなると、様々な問題点を引き起こしてしまう可能性があります。

そして、TCHの症状は以下のようなものがあります。

顎関節症、歯周病の悪化、歯痛、顔面周囲筋の凝り、肩凝り、筋肉痛 舌痛症、噛み合わせの違和感、義歯の痛みなど…

○TCHによって生じるお口の中の症状

歯の慢性咬合痛、歯周病の悪化、歯並びの悪化、エラの張り、歯の摩耗(楔状欠損)、歯の破折や欠け、詰め物や被せ物の破損や脱離、口内炎、ドライマウス、知覚過敏、慢性的な口内炎、舌や頬粘膜の誤咬、開口障害、味覚異常などそれぞれどういった経緯で起こるのか詳しく説明していきます。

1. 顎関節症

顎関節症は、大きく口を開けられない、口を開けるときにこめかみ付近が痛む、口を開ける時にカクカクと音がするといった症状のうちどれか1つでもあると診断されます。起きてしまう原因は様々あり、多因子疾患といわれています。

つまりはっきりと原因はこれだといえない疾患なのです。様々な因子がある中で、その人が持つ顎の耐久力を越えてしまうと、症状となって出現してしまいます。その因子として、TCHがあると、顎の筋肉や関節や靭帯を使い続けることになりますので、筋肉や関節の痛みが出現しやすくなるのです。顎の痛みが朝ある方は寝ている間の歯ぎしり、夕方になると痛んだり顎が疲れている方はTCHがある可能性が高いです。

2. 歯周病の悪化

歯周病とは、歯を支える骨が歯周病菌が原因で溶けてしまう病気のことです。日本人の約80%がこの疾患を持っています。歯周病の進行は、歯周病菌のかたまりである歯垢(プラーク)が原因で起こりますが、その他に促進させてしまう因子として、喫煙、糖尿病、ストレス、詰め物・被せ物の不適合、歯並びなどがあります。

その促進させてしまう因子としてTCHがあります。それは、歯周病になっている歯というのは、歯の周りの歯茎が炎症を起こし、弱っているのですが、その時に弱っている組織に力がかかると、その部分の炎症が大きくなったり、弱って緩んでいる組織がさらに緩んでしまい、歯がグラグラしているのが進行してしまうのです。

歯周病の治療を歯科医院で行っており、夜間マウスピースを装着するなどの対策をとっているのに、歯周病の状態が改善しない、もしくは進行してしまっている場合は、日中のクレンチング(食いしばり)やTCHがあると考えられます。

歯周病の原因としてのブラキシズム(無意識のうちに行っている噛みしめや歯ぎしりなどの総称)には・グラインディング(こすりあわせ)・タッピング(カチカチと嚙合わせる)・クレンチング(垂直のかみしめ)に加えてTHC(歯の接触癖)も含まれると捉えられます。

3. 歯痛

むし歯や歯周病もないのに夕方くらいになると歯が痛いと訴える方がいらっしゃいます。これはTCHがあるせいで、歯の感覚が過敏になっているということや、歯自体に力がかかりすぎていて、痛みを感じているということが考えられます。

このとき、冷たいものを飲食したときに、しみるといった症状が出ることもあります。この痛みを取るために、神経を取ってしまうのはやり過ぎの治療です。神経は取らずに、TCHを是正することがとても大事になります。

4. 顔面周囲筋のこり、肩こり、筋肉痛

お口の周りの筋肉が常に使われている状態になっているために、筋肉が疲労します。そうすると、筋肉痛が起こり、頭痛であったり、肩こりが引き起こされます。肩こりだけでなく、お口の周りや首も凝ってきます。

5. 舌痛症

舌がヒリヒリするような感じがあったり、舌が痛くて何をするにも集中できない、といったケースが舌痛症にあたります。

精神的な疾患との関連もある場合もありますが、TCHがあると、舌や頬の粘膜が緊張して、上下の歯に押し付けられているため、舌や頬に歯の痕がつきやすくなり、表面が歯と擦れることで症状が出てしまう方もいます。

また、頻繁に舌や頬に口内炎ができるケースでも、TCHの是正を行うことが大切です。

6. かみ合わせの違和感

「かみ合わせに違和感がある」「噛む場所が分からない」など、かみ合わせの異常を訴える方がいらっしゃいます。歯科医院で被せ物を被せたばかりの患者様では、かみ合わせの良くない部分を調整することで治りますが、治療終了して数ヶ月以上経っており、検査をしてみても、かみ合わせに問題がなさそうな方もいらっしゃいます。

こういった場合、心因性の問題がある場合や、TCHがある場合のパターンが考えられます。心因性の場合は歯科では治療ができないため、心療内科での治療が妥当になります。

TCHがある場合でと、歯が接触するため、歯の周りの歯根膜が過敏になっています。そのため、少しの噛み合わせの誤差や、本来許容できるものでも、違和感として感じやすくなってしまいます。TCHを是正することで、歯根膜の状態を普段と変わらないように戻していきます。

7. 入れ歯の痛み

入れ歯を作ると、最初は入れ歯が当たっているところが痛みが出てきますが、通常であれば数回か当たっている部分の入れ歯の調整を行うと、痛みが取れて噛めるようになります。しかし、当たっている部分を何度も調整しても痛みが取れない患者様がいらっしゃいます。

このような方は、入れ歯を入れて時間が経ってくると、疲れてくるとおっしゃります。この場合の入れ歯の痛みは、TCHが関連している可能性が高いです。歯が無くてもTCHがあるのかという疑問が出てくるかと思います。実は、総入れ歯でも入れ歯同士でTCHを行ってしまえるのです。

○お口の中以外の症状

顎関節症・肩こり・頭痛・耳鳴り・腰痛など

TCHが常態化した場合、顎周りの筋肉が疲労・緊張し顎関節への負担が増えることとなります。これにより顎の違和感、疲労感から始まり、顎が開きづらくなったり、顎関節症、肩こり、頭痛などの症状が現れるなどさまざまな不定愁訴が起こることがあります。また、睡眠中における歯ぎしりや噛みしめの原因にもなると考えられています。

もともと歯があるときにTCHがあったのが、入れ歯を入れてきちんとしたかみ合わせが出来たことで、またTCHがも戻ってきてしまうのがこの癖の悪い所です。

◎TCHを調べる方法

TCH以外は就寝中の習癖で、意識して直すのが難しいのですが、TCHは覚醒時~就寝中の習癖です。普段生活している中で、今自分の歯はどのようなポジションにあるのか少し意識をしてみてください。

TCHは癖なので、なかなか気付くことが出来ませんが、いくつか調べる方法があります。

○TCHの見つけ方①

椅子に座り、背もたれから背中を離し、背筋を伸ばします。この状態で軽く眼を閉じ、唇も閉じます。

ここで質問です。今、上下の歯はどうなっていますか?どこかの歯で噛んでいる、歯と歯が接触している所がありますか?それとも離れていますか?接触している所があるようであれば、TCHを持っている可能性が高いです。

また今現在、歯が触れていなくても、ある特定のことをすると歯が触れ合うことに気付くかもしれません。TCHがあるかもしれないと思って、ご自身の行動を注意深く観察してみると、「言われてから気が付いたけど、歯が接触してるときがある」と患者様から言われることも多いです。

○TCHの見つけ方②

①姿勢を正して正面を向き、目を閉じます。

②唇を軽く閉じます。

③上下の歯が接触しないように少しずつ離していきます。

上記の①~③を行った際にお口や顎周辺に違和感を感じたり、そのままの状態で5分間維持できない場合は、TCHの可能性があります。

○TCHの見つけ方③

「5分間意識的に上下の歯の隙間を維持する」
「5分間意識的に上下の歯を接触し続けてみる」
この両方を試してみて下さい。
どちらの方が楽に感じましたか?
上下の歯が接触している方が楽に感じられた方は、TCHと診断されます。

○TCHの見つけ方④

TCHを見つける方法としては、舌や頬にできるかみ合わせの痕を参考にします。

舌の側面にぼこぼこと歯の痕がついていたら、間違いなくTCHがある証拠になります。

歯ぎしりや食いしばりがある人では、歯の噛む面の擦り減りや歯の付け根の擦り減り、上顎の正中部分や下の前歯の裏に出来る骨隆起と呼ばれる歯を支えている骨の増殖もみられますが、TCHでは歯のすり減りが起こることは少ないです。

・舌の位置

①上顎前歯口蓋側(上あごの真ん中の前歯の少し後ろの歯茎辺り)に舌の先を軽く触れる
②前歯舌側面(上あごの真ん中の前歯の裏側)に舌の先を軽く触れる
①のポジションをとった際に、上下の奥歯は触れていましたか?離れていましたか?2のポジションをとった際にはどうでしたでしょうか。おそらく、①のポジションでは上下の奥歯は離れていたのに、②のポジションでは触れていたのではないでしょうか。
舌のポジションが良くないと、上下の奥歯が触れてしまってTCHになりやすいそうです。顎関節症や歯周病の予防のためにも、是非、日常的に歯や舌のポジションを意識してみて下さい。

安静にしている時の舌の位置は上の前歯の裏側の根もとの部分の切歯乳頭という位置までにあり、歯と舌は接さないことが良しとされています。舌と歯が接触していると、歯が舌によって前に押し出される舌癖があるとされます。

こういった舌癖は矯正を行う時に弊害となることがあります。TCHがある方は舌の脇の部分に歯の跡がつきます。それは、歯と歯が接触しているところに舌が触れるからです。歯と歯が接していない時に、舌に歯の跡がつかないことが正常です。上顎と舌が接するように普段から心掛けてみましょう。

骨隆起

歯ぎしりや食いしばり、TCHがあると、骨の隆起ができます。上顎ではちょうど真ん中辺りに、下顎には、舌の先端付近に出来てしまいます。

徐々に大きくなりますので自分では気付きにくいですが、大きくなると舌感が悪くなります。

◎TCHの治療・改善方法

TCHを改善するには上記原因を改善するすることが必要となりますが、過度な緊張やストレス、家事などさまさまな場面で、無意識下で起こる癖ですので、改善は容易ではありません。

しかし、精神的・肉体的におけるストレスフリーな環境を作り、1日の中で定期的にTCHが起こっていないかチェックする習慣を身につけることで、少しずつ改善に向け進むことが出来ると考えます。リラックスを意識する簡単なセルフコントロールがお勧めです。

また、歯科医院にてかみ合わせの調整を行うことも重要な改善法の1つと考えております。

皆さんの中には通常、「上下の歯が接触しているのが当たり前」と思っている方もいるかもしれませんが、実は違うのです。
また、上下の歯の接触と聞くと一般的には「かみ締め」や「食いしばり」「歯ぎしり」を思い浮かべる方が多いと思いますが、実際にはグッと強い力で、かみ締めや食いしばりを行わなくても、上下の歯が接触する程度でも筋の緊張・疲労は生じています。
さらに筋肉疲労でこわばった顎は、就寝中にも無意識の「かみ締めや」「歯ぎしり」などの、より重篤な症状を起こすことがあり、起床時症状(顎の疲労感,歯の違和感,口が開きにくい)や、顎関節症、頭痛などTCHが様々な不定愁訴にも関わっている可能性が考えられています。

◎TCHの対処法

TCHは無意識下で行うため、自分ではなかなか気付けないことが多いです。ですので、その可能性がある場合は歯科医師などから、指摘されて自分で行動を追ってみて初めて気付くことが多いです。

TCHの対処法として、まず無意識に歯を合わせていることを本人が自覚し、その癖をやめるようにすることが大切です。
パソコンやスマホやテレビのリモコン、トイレ、食卓などに「歯を離してリラックス」と書いた紙を貼るなどして、自己認識しやすい環境を作りましょう。

こうした意識付けを2~3か月続けることで、習慣化されTCHがなくなってきます。
また、ストレスもTCHの原因の一つと考えられています。普段からストレスを溜め込まず発散することも大切になってきます。

では気付いたらどうすればいいでしょうか?癖なのでなかなか止めてと言われてもすぐには止められないですよね。ましてや無意識下だと難しいですよね。なので、何か自分に気づかせるものによってTCHを行っていること止めさせることが良いと思います。その方法としては次の2つで行ってみましょう。

それぞれについて詳しく説明します。

①ポストイット法

小さくても良いのですが、よく自分が作業をしているパソコンや机に「歯を離す」「力を抜く」などと書いて貼っておきます。なるべく多くの場所に貼って気づかせることが大切ですので、みやすい所でいろんな場所に10カ所以上貼っておくと良いでしょう。少ないと気付けないので、改善が難しくなります。

そして、実際そのポストイットを見たときに歯が接触していたら、どのようなときにTCHをしているのか、そのシチュエーションが分かると思います。

②タイマー法

タイマー法は、ランダムにタイマーをかけます。

3分、5分、10分など何分でも構いませんが細かいほうが良いと思います。それをランダムに何回も行います。タイマーが鳴ったときに歯が接触していないかを確認しましょう。

タイマーはスマホのアラームでも良いと思います。また音は関係ないので、バイブレーションのみでも問題ありません。

上記の方法で実際に歯が接触しているタイミングがあったら、すぐに歯を離します。そして大きく深呼吸をします。肩を大きくあげて、鼻から息を吸い込み、口から息を吐きながら脱力します。大袈裟に行うことがポイントです。

ポストイットやタイマーが鳴ったときに歯が接触していたら毎度こちらを繰り返し行います。猫背になっているようなら背筋を正すことも行えるとなお良いと思います。

◎!注意点!

歯を接触させないように、意識して歯を離すのと、自然に歯が接触しないようになるのは別問題です。もしお口をぽかんと開けているようでしたらそれはすぐに止めましょう。安静にしている場合ではなく、口を開けるために別の筋肉を使ったり、口のなかを乾燥させてしまい、別の疾患を呼び込んでしまいます。

また、歯を接触させないようにするためにガムを噛むのはどうかと聞かれることがありますが、逆に噛む癖がついてしまったりしますので、良くないと考えます。

歯が接触すること自体は悪いわけではありません。食事や話すとき以外でも、力を入れたりするには噛むことがあり得るで場合もあると思います。それは問題ないですので心配しないでください。歯の接触が長時間あることが問題だからです。短時間や一瞬のものでしたら全く問題ないです。

自分で気付ける人はごく僅かです。ですので、TCHあるないに関わらず歯科医院での定期検診を受け、あるのであれば早期に対策をしていくことが良いと思います。

放っておくと、顎関節症を引き起こしたり、歯が力に耐えきれず割れて、最悪抜歯をしないといけなくなることもあります。自分の歯で一生噛めるように、今のうちから対策をしておきましょう!

また歯が接触し続けることによって、咬むための筋肉は持続的な緊張状態により疲労し、顎関節にも長時間負担が掛かるので顎関節症の原因や、影響を及ぼす因子としてとらえられるようになってきました。その他にも、知覚過敏や歯周病の悪化にも影響すると考えられています。

TCHの原因は緊張状態や、集中状態だと考えられています。意識的に息を吐くことでリラックスし、力の掛かる状態から解放してみましょう。

今はまだ痛みなどの症状がない方も、一度ご自身でチェックしてみてくださいね。

自分で気付かないうちに、さまざまな症状を引き起こしてしまうTCH。
気になる方は、是非当院までご相談ください。

 

編集者 医療法人フォレスト 長野フォレスト歯科 理事長 藤森 林