こんにちは。長野フォレスト歯科の添野です。
日中はまだ汗ばむ暑さの日もありますが、朝夕は過ごしやすくなってきましたね♪
今回は「かみ合わせ」についてお話します。
皆さん、自分のかみ合わせに自信はありますか?
最近、かみ合わせや歯ぎしりや噛みしめ、それらが重なって起こる肩こりや頭痛などの不定愁訴が注目されています。かみ合わせの不具合や歯ぎしりなどの悪習癖が、歯やお口の健康はもちろん、全身の健康にも影響を及ぼしていることが明らかになっています。正しいかみ合わせは健康の土台です。
かみ合わせとは、上下の歯を合わせたときの接触の仕方を指しますが、実際には歯のみで成り立つわけではありません。人間の上顎が頭蓋骨によって固定されており、下顎は頭蓋骨から吊り下がるように複数の筋肉よって支えられています。咀嚼(そしゃく)や発音の際には、顎関節の前後運動が必要です。正しいかみ合わせのためには、歯・筋肉・骨(顎関節)・神経など複数の要素が正常に機能しなくてはなりません。
かみ合わせは、見た目はもちろん、咀嚼・発音など、生活を送ってく上での基本となる部分です。ですが、自分のかみ合わせが良いのか、悪いのか歯科医院で検査したことのある方は少ないのではないかと思います。
かみ合わせは歯並びや上顎と下顎のバランスだけでなく、ストレスや生活習慣からも影響を受けます。何もしていなくても少しずつ変化してしまうこともあります。
噛む際に使う筋肉や顎の関節に負担がかからず、自然とバランス良くしっかり噛めるのが良いかみ合わせです。また、それぞれの歯には役割があり上下の歯をかみ合わせるときだけでなく、下顎の動きを誘導する働きもあります。
目次
かみ合わせに不具合が起こる理由とその影響
治療した歯のバランスが悪かったり、特定の歯に負担がかかると、かみ合わせに不具合が生じます。
また、治療を途中でやめてしまったり、むし歯や歯周病で失った歯をそのままにしておくと、空いた場所に反対の歯が伸びてきたり歯が傾いたりします。すると顎が左右や後方にずれてきて、やがて顎関節に異常が及ぶことがあります。
かみ合わせの不具合は、歯にひびが入ったり歯周病を悪化させたりするため、やがて歯の欠損にも繋がります、また開口障害、顎の痛み、顎関節症、頭痛なども引き起こすリスクがあるため注意が必要です。
かみ合わせの不具合による全身の影響
仕事や家事に追われる忙しい日々の中で、さまざまな体の不調をお感じの方も多いのではないでしょうか?例えば、慢性的な頭痛や肩こり、目の痛みなど…
ほとんどの場合は、体をしっかりと休ませ、疲労を回復させることで症状が回復することが多いのですが、もし、休養を取ってもなかなか回復しない場合は、かみ合わせの悪さを疑ってみても良いかもしれません。
かみ合わせが悪いと顎関節症を引き起こしたり、一見関係なさそうな頭痛や肩こり、腰痛などの原因になったりと全身のあらゆる所に影響が及ぶと言われています。
これは、かみ合わせが悪くなることで頭痛や首の筋肉バランスが崩れるのが原因だと考えられています。筋肉のバランスが崩れると顎が歪んできて頭部が傾き、その傾きを補正するために体が肩や腰を歪ませてバランスを取ろうとするためです。マッサージや整体で部分的な痛みを治すだけでなく、かみ合わせも気にしてみてください。
逆に体の歪みや不調で全身のバランスが崩れ、その影響でかみ合わせが悪くなることもあります。不調からイライラしたり噛みしめが強くなるなど、自律神経が乱れることも考えられます。
かみ合わせは人間にとって最も基本的な機能の一つです。良いかみ合わせを維持することで、歯やお口だけでなく体と心の健康も守っていきましょう。
かみ合わせが悪いことで起こりやすい症状
歯並びと違い、かみ合わせの良し悪しは見た目だけでは分かりません。
かみ合わせが悪いときに起こりやすい症状をご紹介します。
・顎関節症(口が開かない、カクカク音がする)
かみ合わせが悪いと顎関節に負担がかかるため、顎関節症のリスクが高まります。口を大きく開けない、開こうとすると痛みがある、口を動かす時やあくびをした時に「カクカク」音が鳴るなどの症状があれば顎関節症を疑ってください。
・むし歯、歯周病
歯並びが悪いとむし歯や歯周病になりやすいのですが、かみ合わせが悪いときも同様のことが言えます。かみ合わせが悪いと、どうしても歯ブラシの届きにくい所が出てきてしまい、汚れが溜まってむし歯になりやすくなってしまいます。本来であれば、しっかりと噛んで唾液を分泌することによって、歯の汚れを洗い流したり、再石灰化を促進したりすることができるのですが、かみ合わせの悪さによって唾液の分泌が妨げられると、この様な唾液の洗浄・修復効果を十分に得ることが出来なくなります。また、歯並びやかみ合わせに問題があると、一本一本にかかるべき力のバランスが崩れ、特定の歯のみに負担が掛かります。無意識のうちに噛みやすい方の歯を中心に噛む癖がつくと、一部の歯だけに過度の負担が掛かるようになり、歯周病にもなりやすくなってしまいます。
結果として、歯の寿命を縮めてしまったり、むし歯菌や歯周病菌が増殖しやすくなり、口内環境が悪化する原因となります。
・歯ぎしり、食いしばりがある
歯ぎしり・食いしばりには様々な原因がありますが、かみ合わせの悪さもその一つに挙げられます。
人間の噛む力は非常に強く、歯ぎしりや食いしばり時には自身の体重の数倍から十数倍の力がかかるとも言われています。もし仮に体重50kgで5倍の力がかかっているとすると、歯ぎしりで歯に250kgの力がかかる計算になります。
歯ぎしり・食いしばりのほとんどは就寝中に起こるため、多くの人に自覚症状
がありませんが、毎日繰り返されているとしたら、歯の磨耗・破損もとても心配になります。
・頭痛、肩こり、腰痛
かみ合わせとは、歯だけでなく顎やその周辺の筋肉とも関係しています。かみ合わせが悪いと顎の周りの筋肉が緊張し、頭痛の原因になります。また、顎の筋肉と繋がっている首や肩の筋肉も血行不良になることで、肩こりが起こりやすくなってしまいます。
・顔の左右が非対称で、歪んでいる
かみ合わせが悪いと、片方の歯だけで噛む癖がつきやすくなります。片方の歯だけで噛んでいると、いつも使っている方の筋肉だけが厚くなり、左右の顔の歪みとなって現れてきます。また、筋肉の下にある顎の骨も、筋肉の厚みに合わせて変わっていきますので、最終的には顎の形も歪んできてしまいます。
その他に
・耳鳴り
・めまい
・鼻づまり
・目のかすみ など
・真っ直ぐ立っているつもりでも、体が傾いていることもあります
かみ合わせを悪化させてしまう原因
かみ合わせの悪さは、様々な原因によって起こるとされています。その主な原因についてご紹介します。
・かみ合わせを悪化させてしまう日常の癖や習慣
かみ合わせを悪化させてしまう原因として最も多いのが、日常的に何気なく無意識に行なっている癖や習慣です。
・頬杖をつく
・いつも同じ側に向いて寝ている
・バッグなどを同じ手で持つ、斜めにかける
・噛みしめ、食いしばり
上記のような癖は、歯並び、顔貌、姿勢、筋肉へ大きな影響を与えます。まずは癖の改善が必要です。
・歯並びの悪さ
元々歯並びが悪い場合、成長に伴って噛み合わせの悪さが症状となって現れることが多くあります。子供のうちは筋肉や骨がまだ柔らかいため、多少歯並びが悪くても、それに柔軟に対応してかみ合わせのバランスを取ることが出来ていたのですが、成長が止まり筋肉や骨の柔軟性が失われてしまうと、かみ合わせのバランスを取ることが出来なくなるため、歯や歯茎、顎、筋肉に症状が出てしまうのです。
・歯科治療によるもの
詰め物や被せ物が合わないために、かみ合わせが悪化してしまう場合もあります。特に奥歯の場合、詰め物や被せ物の高さが合っていないと、顎関節にも負担を掛けてしまいます。また、歯科治療で使われている金属の詰め物・被せ物は、歯と硬さが全く違うため、磨り減り方も違ってきます。
治療直後は高さが合っていても、長年使っているとだんだん合わなくなってかみ合わせが悪くなってしまうケースもありますので、奥歯に多くの金属の詰め物・被せ物をしている場合はかみ合わせを診てもらった方が良いかもしれません。
・歯ぎしりや食いしばりによるもの
歯ぎしりや食いしばりによって歯が激しく磨り減ってしまうことで、かみ合わせが悪くなってしまう場合もあります。歯ぎしりや食いしばりがある場合には、かみ合わせの異常の他、口腔内に様々な症状が出ている場合が多いです。
かみ合わせへの誤解「歯並びとかみ合わせは別問題です」
特に違和感もないし、歯並びも整っているから、かみ合わせも問題ないはずと考える方もいらっしゃいますが、歯並びの良さとかみ合わせの良さはイコールではありません。
かみ合わせの問題は必ずしも審美面に影響を及ぼさないため軽視されがちなのですが、歯並びは整っているけど、かみ合わせに問題があるケースは少なくないのです。
矯正歯科によって歯並びは綺麗になっても、かみ合わせが乱れてしまっては、ものが上手く噛み切れない、滑舌が悪くなる、歯やお口にトラブルが起こる、不定愁訴に悩まされるなど、多数のデメリットが生まれてしまいます。本来の矯正歯科とは、審美面だけでなく、きちんと噛めるようにする、セルフケアをしやすくしてむし歯や歯周病のリスクを低減させるなど、健康面での好影響も期待できるものです。矯正治療は単に歯を並べるのではなく、かみ合わせの検査や理論に基づく咬合調整も行なっていてとても重要です。
デンタルドックで総合的な検査が出来ます
生活習慣病の多くに自覚症状がないのと同じように、かみ合わせの不具合(不正咬合)に本人が気付かないことは珍しくありません。また、かみ合わせは歯ぎしりや頬杖、口呼吸など日常的な癖によっても変わってしまい、バランスが崩れることもあります。
特定の歯に負担がかかって将来の損失リスクを高めていたり、上述したように頭痛や肩こり、不定愁訴の原因になっている可能性も考えられます。
長い間病院に通ったけれど取れない痛み、マッサージに通ったけれど取れないコリ感など、それはかみ合わせが悪い可能性があります。
かみ合わせは、歯・筋肉・骨(顎関節)・神経など多数の要素が影響しており、精密検査により解剖学的・科学的に根拠のあるデータを揃えなくては、総合的な判断は出来ません。
何となく不調が続いている方、慢性的な頭痛や肩こりにお悩みの方、自分のかみ合わせについて知りたい方、お気軽にご相談ください。
当院では、全身の健康に繋がるような歯科治療に努めています。
かみ合わせの治療法
・負担の掛かった歯の治療を行うとともに、ナイトガード(歯ぎしりなどを予防するマウスピース)などを使って噛みしめや歯ぎしりを防ぎます。
・BBO
既に入れている詰め物や被せ物の高さを合わせたり、新しくお口に合った詰め物や被せ物を入れたりします。
歯を削るだけではなく、高さが足りない場合には歯を盛り上げたりして、元の良い状態に戻すように細かく調整していきます。一本の歯ではなく、全体的にバランスを見ながら調整しますので、場合によっては症状が出ている歯と反対側の歯を削ったり、盛り上げたりして調整することも多いです。
しっかりとご説明し、ご納得していただいた上で治療を開始しますので、ご不明な点は遠慮なくご質問ください。
当院では治療においてかみ合わせを重視し、口腔全体を考えた総合的な治療を行なっています。
編集者 医療法人フォレスト 長野フォレスト歯科 理事長 藤森 林