歯の豆知識

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レントゲンの得意不得意

こんにちは。長野フォレスト歯科の添野です。

まだまだ寒さが厳しいですが、春も近づいてきて少し嬉しくなりますね!

でも、花粉症に悩まされる季節も始まります…(始まっているという方もいますよね…)今年は花粉の飛散量が非常に多いみたいなので、今まで花粉症でなかった人も花粉症を発症する可能性が高いそうです。

話は変わり、今回は『レントゲン』についてお話したいと思います。

歯科医院を受診すると「レントゲン撮影します」と言われますよね。

通院している方は治療の度に「また違うレントゲン撮るの」と感じる方も少なくないと思います。

多くの歯科医院ではパノラマとデンタルという大小2種類のレントゲン撮影をすることが多く、それぞれ特徴と目的があり、得意不得意があるので説明していきたいと思います。

パノラマ

顎全体が撮影でき、主に歯並びや顎骨内部の病気の有無を確認します。

これによって口腔内の全体像がある程度把握できます。

なので初診時はまずこのレントゲンを撮影し、1口腔単位での診断を行います。細かい歯1本単位の診断には弱いです。

デンタル

小さなサイズのデンタルは隣り合った3〜4歯を撮影対象とし、より微細な情報が得られお口の中を見ただけでは確認困難なむし歯の発見や治療過程の確認などを得意とした撮影方法です。

基本的にレントゲンは硬組織(歯や骨など)の描写を得意とし、軟組織(歯肉、舌、頬粘膜など)の描写は苦手です。

レントゲンで分かること

むし歯

レントゲンではむし歯の大きさ、深さなどを知ることができます。撮影条件によっては初期のむし歯を発見することも可能です。

根尖病巣、歯の破折

むし歯が歯の神経まで到達し、感染すると根の先で骨の中に膿をつくったり、強い炎症を起こすことがあります。これを根尖病巣と呼びます。根尖病巣は骨の中の病変なのでレントゲンでの診断が有効です。また、歯の頭(歯冠)や根が折れたりひびが入ったりすること(歯の破折)がありますが、これらの多くは直接見ることができない部位で起こるため、レントゲンでの診断が有効です。

歯周病

歯周病は歯を支える骨(歯槽骨)や歯肉など歯周組織に細菌感染が起き、それによる炎症で歯槽骨の吸収などが起こる病気です。レントゲンでは歯周組織の状態は分かりませんが、歯についた歯石や歯槽骨の炎症の所見や吸収程度を見ることができ、歯周病の診断や今後の治療計画に重要な役割を果たしています。

顎関節

顎から音が鳴る、口が開きづらいなどの顎関節症の症状がある場合、レントゲンで顎関節症の診断などが可能です。

 

 

レントゲンは、目に見えないものを見るために撮影するものです。

また、過去に撮影したレントゲンと比較することで変化が判明することもあります。

以前は大丈夫だったのに、今回撮影したら歯周病が進行していた、歯が折れて顎の骨が溶けていたなど。

お口の中全体のレントゲン像から、その人のむし歯や歯周病の傾向(リスク)やこれまでの治療履歴も分かります。

それを元に、今後の治療計画を立てやすくなります。

小中学生のお子さんの場合ですと、乳歯の下にちゃんと永久歯が存在しているか?もチェックできます。(撮影の範囲や種類にもよります)

歯科治療で、レントゲンを撮るということは、一つ目は今現在の状態を知るためです。これから治療するむし歯や根尖病巣が現在どんな状態なのか、例えば単純に削って詰めるだけで治せそうか、神経の治療が必要そうか、残念ながら抜歯しないといけなそうかという判断をするためや、矯正では現在の骨や歯の状態を分析して治療計画を立てるためにレントゲン撮影します。

二つ目は、経済的な変化を知るためです。以前の治療の後、しっかり治っているか、悪化していないか、新しいむし歯や根尖病巣が出現していないかを確認するためや、矯正では顎の骨の成長や各種指標の変化を評価し、治療計画の修正、変更、継続を検討するためにレントゲン撮影します。